この記事は日経ビジネス電子版に『東芝3分割案に「失望」、物言う株主が反発』(11月15日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』11月22日号に掲載するものです。

事業ごとに会社を3分割する変革案を打ち出し、晴れやかな表情の東芝経営陣。対照的にアクティビスト(物言う株主)は分割案に失望し、反発を強めつつある。2024年3月までの上場を目指すが、実現までに乗り越えるべき課題は多い。

 「東芝の株価が伸び悩んでいる最大の原因は、経営陣への不信だ。会社を分割しても人が代わらないなら問題は解消されない。経営陣は保身を優先した」。東芝株を保有するアクティビスト(物言う株主)は11月12日夜、日経ビジネスの取材に対して失望をあらわにした。

 東芝は同日、主要事業ごとに3つの会社に分割する「スピンオフ(分離)案」を発表した。エネルギーやビルシステムなどを手掛ける「インフラサービスカンパニー(以下、インフラ社)」と、ハードディスク駆動装置(HDD)を軸とする「デバイスカンパニー(デバイス社)」に事業を振り分け、半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス株式などを管理する存続会社が「東芝」の名を受け継ぐ。それぞれ2024年3月期をめどに上場させる方針だ。

2024年3月までに上場を目指すが……
●東芝が打ち出した3分割案の概要
<span class="fontSizeL">2024年3月までに上場を目指すが……</span><br /><span class="fontSizeS">●東芝が打ち出した3分割案の概要</span>
注:分離する2社の売上高規模は2022年3月期見通しに基づく
(写真=つのだよしお/アフロ)
[画像のクリックで拡大表示]

 長らく課題として指摘されてきた「コングロマリットディスカウント」の解消を期待する。東芝はエレベーターや交通システム、パワー半導体など投資規模や経営判断のスピード感が異なる事業を抱えてきた。投資家が事業内容を理解しづらく、株価が割安な状態になりかねない。それぞれの会社が担う領域をシンプルにして経営の意思決定を早めれば、3社の株式時価総額の合計は東芝単独で上場している今よりも高められる。こうした皮算用がある。

 オンライン記者会見に登壇した綱川智社長兼CEO(最高経営責任者)は「(東芝の)ブランドにこだわっていない。分かりやすい企業の形で経営することで、業績を上げられる」と述べた。事実上の東芝解体ではないか、との質問については「未来に向けた進化だ」とかわした。これまでの記者会見では厳しい表情が目立った綱川氏だが、12日は常に晴れやかな笑みを浮かべていた。まるで、長年続いた経営の混迷に一区切りを付けたかのような高揚感が、会見の映像から伝わってきた。

経営の混迷が続く
●2021年以降の東芝を巡る動き
<span class="fontSizeL">経営の混迷が続く</span><br /><span class="fontSizeS">●2021年以降の東芝を巡る動き</span>
注:肩書はすべて当時
[画像のクリックで拡大表示]

 だが、東芝の思惑通りに進むとは限らない。他のアクティビストも分割案を評価していないとの情報が、既に漏れ始めているからだ。

上場にこだわる経営陣

 冒頭の株主の失望を招いた理由は大きく2つある。

 まずは、多くのアクティビストが求めてきた「非上場化」を経営陣が選ばなかったことだ。非上場化は上場企業の経営再建策の一つ。プライベート・エクイティ(PE)・ファンドなどがいったん東芝株を全て買い取り、上場を廃止する。そのうえで、短期的な利益を気にせず大胆な改革を目指す手法だ。

 既存株主にとっては高値で売り抜ける好機になる。実際、今年4月、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが非上場化を提案したことで株価が上昇した。世界最大のアクティビストである米エリオット・マネジメントは5%近くまで東芝株を買い増し、「東芝株は6000円の価値がある」などと主張しているアクティビストもいる。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り4553文字 / 全文5936文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「東芝解体」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

【無料ウェビナーのご案内】
ZOZO NEXT 金山CEO、
フューチャリスト尾原氏ら登壇!

次世代DX経営と若手人材創出を徹底議論

■テーマ
次世代DX経営が企業競争力を決める ~若手リーダーの創出が企業成長のカギ~

■開催概要
日時:2021年12月13日(月)~14日(火)、合計4セッション
講師:ZOZO NEXT 金山裕樹・代表取締役CEO、フューチャリスト 尾原和啓氏ほか

■パートナー
インテル

■受講料
無料、事前登録制(先着順)

>>詳細・申し込みは以下の記事をご覧ください。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00396/112600001/