政府が雇用・労働分野の成長戦略と位置づけ取り組んできた働き方改革。2019年には働き方改革関連法が施行され、長時間労働の是正に向けた取り組みは加速。社員の健康や安全を守る制度も整備され、多様な背景・属性を持つ人材への配慮も進んだ。だが、多くの企業では社員のモチベーションは必ずしも上がっていない。背景にあるのは「不完全で中途半端な働き方改革」だ。様々な手法で労働時間を削減し見た目こそホワイト企業になったものの、社員がやりがいを感じる仕組みまで社内から消えた──。そんな会社も少なくない。「ブラック企業ほど忙しくないが、ブラック企業と同じように成長を感じられない。これではまるで“ゆるいブラック企業”」。若手社員からはこんな声も聞こえる。働き方改革ブームの中で急増した「ゆるブラック企業」の実態を解明するとともに、正しい働き方改革の形を考える。(写真=B.S.P.I./Getty Images)
(奥平 力、武田 安恵、西岡 杏、藤原 明穂)
CONTENTS
PROLOGUE
転職市場最前線からの警告
若手からやりがいが消えている
PART 1
“いい会社”になったはずなのに何か変
その会社「ゆるブラック」です
PART 2
データで見る働き方改革の真実
労働時間は減るも生産性は上がらず
COLUMN
加藤勝信・前官房長官に聞く
「働き方改革は今、スタートライン」
PART 3
先進企業の真・働き方改革
「働きやすさ」は大事 でも「働きがい」も重要