2020年、陸上配備型のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の計画が停止した。その後、洋上への転用が決まったものの、経費はさらに増えそう。必要な装備品は買うべきだが、費用対効果なき予算の膨張は国内防衛産業も苦しめる。

<span class="fontBold">ロッキード・マーチンのSPY-7レーダー(左)とレイセオン・テクノロジーズのSPY-6レーダー</span>(写真=ロッキード・マーチン、レイセオン・テクノロジーズ)
ロッキード・マーチンのSPY-7レーダー(左)とレイセオン・テクノロジーズのSPY-6レーダー(写真=ロッキード・マーチン、レイセオン・テクノロジーズ)

 2021年2月、米ミシシッピ州の造船所。米海軍に導入される新型イージス艦に防衛世界2位であるレイセオン・テクノロジーズのレーダー「SPY(スパイ)-6」が搭載された。

 レーダーは弾道ミサイルをいち早く見つけ、戦闘システムと連携。迎撃ミサイルなどで防護する。実はSPY-6の搭載は世界の防衛産業に新たな歴史を刻んだ瞬間だった。

 弾道ミサイル防衛(BMD)の要となるイージス艦のレーダーと戦闘システムは、約40年前からロッキード・マーチンの独壇場だった。米海軍や日韓豪などに採用され我が世の春を謳歌していたが、そこにレーダーで殴り込みをかけたのがレイセオンだった。

 同社はもともとミサイルとそのシステムを手掛け、レーダーには豊富な知見を有していた。ロッキードの1社独占で価格も高額になる中、00年代、レーダーの出力を左右する素子である窒化ガリウム(ガリウムナイトライド、GaN)の開発にとことん取り組んだ。米政府の支援も受けながら腕を上げて、13年、米当局によるロッキードとの競争入札の結果、次世代レーダーの受注をもぎ取ったのだ。

 ロッキードはこの時、米海軍の要求を満たす強力なGaNを開発できなかったとされる。その後、同社は米アラスカ州に配備されるBMD用の警戒管制レーダーを受注。余勢を駆って同盟国の日本でも18年、戦果を上げた。それが地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」のレーダーだ。

 防衛省がアショアに動いたのは、北朝鮮からの弾道ミサイルの脅威が増していたためだ。アショアは地上のレーダーで日本全土を監視、弾道ミサイルを探知すると迎撃ミサイルを発射する。24時間切れ目なく万全の態勢で防空できるとの触れ込みで、イージス艦を運用する海上自衛隊員の負担を減らす目的もあった。

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