調査では「最近注目しているマーケティングの手法・指標」についても聞いた。SNS・動画マーケティングとの回答が合計で全体の3割を超えている。デジタル時代の消費者心理をどう読み、引き付けるか。実際の取り組みを追った。

ファンづくりやデジタル対応の手法に関心が高い
●注目しているマーケティング手法・指標
<span class="fontSizeL">ファンづくりやデジタル対応の手法に関心が高い</span><br /><span class="fontSizeS">●注目しているマーケティング手法・指標</span>
出所:複数回答可
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 調査では新しいマーケティングの手法・指標として5つの選択肢を挙げ、複数選べる形で回答してもらった。右の図にあるように、ファンづくりの戦略を立てる「ファンマーケティング」が最も多く27%を占めた。

 オリオンビールの原国秀年コミュニケーション課長もこの項目を選び「100万人が1回買うより、1万人がずっと買い続けてくれることを目指す」とコメントした。商品・サービスがあふれ、消費者の購買行動も移ろいやすい今、固定ファンを一層重視している。

●注目する理由や取り組みについての主なコメント
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 インフルエンサーが情報発信するなどSNSを使って売るマーケティング手法と、アピール力を強められる動画を使う手法を選んだ割合は合計で34%。存在感を高めるため、多くのマーケターがデジタルの波にいかに乗るかが重要だと考えている。

<span class="fontBold">若者と向き合い、チェキの顧客層を新陳代謝させている富士フイルムの高井氏(右)。初代(左)と比べ、現在のモデルはポップなデザインとし、ファッション性を強調</span>(写真=2点:古立 康三)
若者と向き合い、チェキの顧客層を新陳代謝させている富士フイルムの高井氏(右)。初代(左)と比べ、現在のモデルはポップなデザインとし、ファッション性を強調(写真=2点:古立 康三)

 消費の動向を決めるようになっているデジタルネーティブの世代に向き合う方法として、ヒントになりそうな事例が富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ」の事業だ。

 同社はインフルエンサーに依頼し、SNSで商品情報などを発信してもらっている。多くの企業が実施していることだが、注意していることが1つある。そのインフルエンサーが普段から本当にチェキを使っているかどうか、しっかり確かめるという。

 コンシューマーイメージンググループの高井隆一郎統括マネージャーはその理由について「(1990年代半ば以降に生まれた)Z世代に嘘は通用しないから」と話す。「情報があふれる中、この世代は信用できる発信者は誰なのかをよく見ている」

 若者の思考は常に変化し続けるため、同社は定期的なオンラインアンケートに加え、世界中で顧客に対する対面インタビューを行っている。1~2時間かけ、商品の評価に対して「なぜ」「どうして」と突き詰めて聞く。さらに最近は商品に限らず、行動や思考の在り方、内面の心理まで深く聞くようにしている。

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