グループ企業横断でAI人材を育成する社内大学を発足させたZホールディングス。メルカリの山田氏は理系に進学する女子中学生向けの奨学金制度を個人で創設した。自ら課題解消に動くネット企業の2大トップが、日本の抱える課題の解決策を語った。

大学在学中に設立したベンチャーがヤフーと合併し、2000年にヤフーに入社。18年にヤフー社長CEO、ソフトバンク取締役に就任。21年LINEとの経営統合に伴い、現職。
右:Shintar Yamada
早稲田大学在学時にインターンとして楽天オークションの立ち上げに携わる。卒業後、ウノウを設立し、2010年に米Zyngaに売却。13年にメルカリを創業し、18年に東証マザーズに上場した。
(写真=的野 弘路)
川邊健太郎Zホールディングス代表取締役社長Co-CEO(以下、川邊氏):この1年間、コロナ禍だったこともあり、山田さんも含めたインターネット企業の社長たちとチャットツールを使い、なぜ日本がデジタル後進国になってしまったのかという議論を重ねていました。
山田進太郎メルカリ代表取締役CEO(以下、山田氏):我々の力不足だったかなと思います。もっとできることはあったはずだという思いが強い。使いやすいサービスをもっと提案できたのかもしれないという反省があります。
以前、中国を訪れた際、すごい勢いでシェアサイクルが普及していくさまを見て驚きましたが、それ以上にびっくりしたのは高齢者の方も使っていたということです。
日本だとそれこそスマホ決済サービスの「PayPay」は幅広い層に支持されていますが、誰もが使うというサービスを作り出せていなかったんだと思います。つくる側、使う側、双方が現状維持バイアスにかかっている社会構造になっていることに起因していると思います。
川邊氏:我々の力不足という点はまさに同意です。デジタルサービスは大きく民間領域と行政領域に分けられます。自由度の高い民間では、それでもまだ様々なサービスが出てきたほうではないでしょうか。
しかし、行政はそうはならなかった。IT基本法が施行されてから20年がたつのに、です。そういう意味で我々民間からの働きかけが足りなかったと痛感しています。今回、こうした反省を踏まえてデジタル庁発足に向けて提案を繰り返してきました。
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