政府は、温暖化ガス削減目標と整合する形で国のエネルギー政策の方針であるエネルギー基本計画案を提示した。焦点となる再生可能エネルギーは2019年度実績の18%から36~38%と倍増以上。現在約6%の原子力は20~22%へ。両者を合わせた「脱炭素電源」は約6割となり、これまでの目標だった44%から大幅に引き上がる。

 だが、これらは実現可能な数値なのか。

 伸びしろの多くを占める風力は、地理的な制約が大きい。風況が良い平野の面積は狭く、洋上風力に向く遠浅の海も少ない。大規模な太陽光発電の適地も少なくなっている。電力を遠方の消費地に運ぶ送電線の整備もこれからだ。日本の送電網は相互接続の機運が薄かったため、遠距離の送電に向いていない。南北に長い国土も不利に働く。そして、原子力は、福島県での事故以来、再稼働が思うように進んでいない。新増設、リプレースの議論もまともにできない状況だ。

 再エネ、送電網、原子力──。この「三重苦」を克服しない限り、エネルギー基本計画の達成は絵空事に終わる。これらの課題の現場ではいったい何が起こっているのか、日本各地に足を運んでつぶさにリポートする。(写真=Please expand the possibility. u3k-y/Getty Images)

再エネの目標値が大幅に上積みされた
●エネルギー基本計画における電源構成(2030年度)
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注:原本の数値表記には「約」「程度」が付いている
出所:経済産業省
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(上阪 欣史、中山 玲子、小太刀 久雄)

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日経ビジネス2021年9月20日号 28~29ページより目次