この記事は日経ビジネス電子版に『スーパーシティの光と影』として連載した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』9月13日号に掲載するものです。

政府が打ち出した「スーパーシティ」構想に全国の自治体が飛びついた。分野ごとの実験から、都市まるごとの革新へ。街づくりの限界を打破できるとの期待に日本中が沸き立っている。

<span class="fontBold">前橋市は高齢者向けタクシー補助事業でマイナンバーカードを活用する</span>
前橋市は高齢者向けタクシー補助事業でマイナンバーカードを活用する

 「午前11時から南部保健センターで乳幼児健診」。午前8時、スマホに通知が届いた。今日は娘の9カ月健診だ。そろそろ職場復帰に向けた準備を始めなければ。「バーチャル市役所」のアプリを開き、窓口を呼び出す。保育所の申請は片付けの合間に15分で済んだ。

 午前10時20分、乗り合いタクシーが迎えに来る。同乗したのは車椅子の男子大学生。市内の大学に通いながら、オンラインで米国の大学のゼミにも参加しているらしい。タクシーは、顔認証を基に後日、利用料金が口座から引き落とされる仕組みだ。「顔払い」ができるところが増え、財布を持ち歩くことはすっかり減った。

 「日曜日までの住民電子投票、どうします?」と、大学生が問いかけてきた。個人情報と医療・介護サービスとの連携をさらに進めるかどうかの賛否を問う通知がアプリに届いていたんだった。どっちに投票しようかな──。


 「スーパーシティ」の掛け声とともに始まった、日本全国を巻き込む壮大なコンペ。エントリーした自治体の一つ、前橋市の構想には159もの企業・団体が参加する。その前橋市が描くのが、冒頭のような未来都市での生活だ。

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