2020年に欧州はEVとPHVの販売が急増し、世界最大の市場となった。政治は規制と支援を駆使し、自動車各社は25年までに1兆円以上を投じる。欧州に加え中国市場で日米中メーカーの優位に立ち、覇権を狙う。

 これは欧州の陰謀なのか──。日経ビジネス電子版では7月16日、「EUの新環境規制 2035年のHV禁止だけではない苛烈な中身」という記事を掲載した。欧州連合(EU)の欧州委員会が35年にハイブリッド車(HV)などエンジン搭載車の販売を実質的に禁止する規制案を発表したことを受けたものだ。

 この記事も含め、欧州のEV(電気自動車)シフトに関する記事への反応は大きく分かれる。一つはネガティブな意見だ。エコカー競争で日本勢に敗れたが故の無謀な企てであり、技術が伴わずいずれ頓挫するという見方だ。

 もう一つが、EUの規制は世界的な二酸化炭素(CO2)削減のロードマップに基づいたもので、米国や中国も追随しているため日本勢もEVでキャッチアップすべきだとの意見だ。

 日本では今、欧州の規制やEVシフトについて様々な見方が飛び交っている。欧州勢が推していたディーゼル車で不正が発覚したため、EVについても悪いたくらみだと論じる向きがあるのは確かだ。一連の規制は25年や30年をターゲットとしているため、不確定要素が多いことも否めない。

EVとPHVの販売2.4倍に

 真偽を見極めるためには、現状把握が大前提となる。今後の見通しを論じる前に、まずは足元の欧州市場の実態から見てみよう。

 新型コロナウイルスの感染拡大が起きた20年。欧州ではEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の販売台数が前年の2.4倍の137万台を記録した。国際エネルギー機関(IEA)によると、中国を抜き世界最大のEV市場となった。

(写真=Bloomberg/Getty Images)
(写真=Bloomberg/Getty Images)
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 これまで欧州でもEV販売の上昇ペースは鈍く、ニッチ市場にとどまってきた。ところが前代未聞の勢いでEVの販売が増え、自動車産業に突如大きな塊が生まれたのだ。

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