この記事は日経ビジネス電子版に『東京に4度目緊急事態宣言、首相が選んだ「有観客五輪より衆院選」』(7月9日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』7月19日号に掲載するものです。

菅義偉首相は五輪成功とワクチン接種の加速を実現し、衆院選に臨む戦略を描く(写真=左:AP/アフロ、右:POOL via ZUMA Wire/共同通信イメージズ)

 「ここで再度、東京を起点とする感染拡大を起こすことは絶対に避けなければならない。そうした思いで、先手、先手で予防的措置を講ずることとし、東京都に緊急事態宣言をいま一度(ひとたび)、発出する判断をした」

 7月8日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部開催後の記者会見。菅義偉首相は東京に4度目の緊急事態宣言を発令した理由についてこう語った。

 政府はこれまで、7月11日までのまん延防止等重点措置について、五輪会場がある東京など首都圏の1都3県について延長する構えだった。東京の新型コロナの人口10万人あたり直近1週間の新規感染者の合計は「ステージ4(感染爆発)」の水準が続き、近隣の埼玉県などでも増加傾向が続いていた。それでも医療提供体制に余力があることから、菅首相らは重点措置で対応できるとみていた。

 東京五輪の観客受け入れを巡り、首相は宣言を発令するような事態になれば「無観客もあり得る」との考えを示していた。その一方で、「イベント基準に沿った対応を取るべきだ」と周辺に語り、重点措置の継続であれば5000人以下の会場などは有観客での開催が可能になると期待を寄せていた。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会も有観客での開催を後押ししていた。

「尾身さんの動き軽視できない」

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