この記事は日経ビジネス電子版に『「鬼滅の刃」興行収入の100倍、年4兆円稼ぐソニーのエンタメ』(6月18日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月28日号に掲載するものです

ソニーグループが手掛け、劇場版の国内興行収入が400億円を超えた「鬼滅の刃」。ただしエンタメ事業全体では単純計算でその100倍、約4兆3500億円を売り上げる。ヒットに左右されるゲームと音楽で確実に稼ぐ、ソニー流の「方程式」が見えてきた。

<span class="fontBold">お笑い芸人、狩野英孝さんのゲーム実況動画は多くのファンを呼び寄せる</span>(写真=的野 弘路)
お笑い芸人、狩野英孝さんのゲーム実況動画は多くのファンを呼び寄せる(写真=的野 弘路)

 「あれ、見失った」「どこ行った?」「やばい、やばい」。CyberZ(東京・渋谷)の動画配信サービス「OPENREC.tv」のスタジオで6月中旬、お笑い芸人の狩野英孝さんがゲームのプレー風景を「実況中継」していた。手に持つのは「プレイステーション(PS)4」のコントローラー。本人は意識していないだろうが、狩野さんはソニーグループのゲーム事業を支える陰の立役者の一人だ。

 ゲーム実況は、新型コロナ禍の巣ごもりで急成長した動画コンテンツだ。米ストリームラボによると、2020年の世界の総視聴時間は前年比約2倍の279億時間。米国では昨年、プロの実況者が数十億円の移籍金で競合に引き抜かれるケースも起きている。

 狩野さんは日本を代表するゲーム実況者の一人。20年初頭に実況動画の配信を始めると、トラブルに直面した際のパニックぶりが話題となって一気にブレーク。「YouTube」のチャンネル登録者数は100万人を超えた。ゲームエイジ総研(東京・渋谷)による20年のゲーム実況者ランキングでは、女優の本田翼さんを上回り8位に入った。

 スタイルもひと味違う。世界で人気のゲーム実況者は、高度な技を披露して視聴者を集める。ただ狩野さんは上手とは言えない。だからこそファンは放っておけない。「困ったらチャットで助けてくれるし、クリアしたらみんなで盛り上がれる」と狩野さんは笑う。

ゲーム攻略の「3ステップ」

 ソニーのエンタメとして真っ先に思いつくのはアニメ「鬼滅の刃」だろう。ただしソニー全体で考えると、その効果は限定的だ。21年3月期のエンタメ部門売上高はゲームと音楽、映画の単純合計で約4兆3500億円に達している。

 中でも急成長しているのがゲーム事業だ。ソニーの稼ぎ頭をなぜ、お笑い芸人の狩野さんが支えていると言えるのか。3つのステップで見ていこう。

(写真=AFP/アフロ)
(写真=AFP/アフロ)

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