この記事は日経ビジネス電子版に『ドローン参入はソニー復活の象徴、利益1兆円に見る「変化」』(6月17日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月28日号に掲載するものです
ソニーグループは9月、自社開発のドローンを発売する。後発ながらも、中国DJIが君臨する市場で真っ向勝負を挑む。純利益1兆円超えを果たした復活の象徴となるか。

JR中央線の三鷹駅(東京都三鷹市)からクルマで約10分。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の調布航空宇宙センター(同調布市)に今年初め、ある飛行物体が運び込まれた。国内最大の風洞施設で飛行性能を確かめるためだ。
その名は「Airpeak(エアピーク)」。ソニーグループが開発したドローンである。13個のセンサーで機体の位置や姿勢などを確認しながら自動飛行し、ミラーレス一眼カメラを搭載して高精細な動画を空撮できるのが特徴だ。
JAXAの風洞施設では秒速20mの風を人工的につくり出し、Airpeakの飛行性能をテストした。台風並みの強風で、人が立つのも困難なほどだ。
試験の結果は上々。強風でも焦点をぶらさず、フルハイビジョン映像を撮影することに成功した。ソニーで開発を主導した川西泉執行役員は「安定性や加速などの飛行性能ではライバルに負けていない」と力を込める。
ソニーは9月、第1弾商品となる「Airpeak S1」を発売する。映像制作のプロを中心に売り込み、市場想定価格は110万円。すでに米国の複数の映像制作会社から引き合いが来ている。
王者、中国DJIに真っ向勝負

Airpeakの開発スタートは2018年。犬型ロボット「aibo(アイボ)」のチームが母体となり、「要素技術を自社でゼロから作り上げた」(川西氏)。独自性にこだわる姿は、読者の多くが思い描くであろう「ソニースピリッツ」を彷彿(ほうふつ)させる。
だが、ドローン市場には中国DJIという巨人が立ちはだかる。特にプロ用では圧倒的なシェアを誇り、業界標準と呼べる存在だ。
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