中米エルサルバドルのブケレ大統領は6月8日、「History!(歴史的だ)」とツイートした。暗号資産(仮想通貨)のビットコインを法定通貨にする法案が可決されたのだ。

 国内の治安悪化や貧困を背景に多くの国民が米国に移住するエルサルバドル。海外からの送金は2020年に59億ドルとGDP(国内総生産)の約2割を占める。現在の法定通貨は米ドルだ。ブケレ氏は、国民の約7割が銀行口座を持っていない現状に触れ、「非公式に就労する多くの人々の『金融包摂』につながる」とその意義を説明した。

 「銀行口座を持てない人たちが世界で決済などのサービスを受けられるようにする」。米フェイスブックがデジタル通貨「リブラ」の計画を発表したのは2年前のことだ。世界で24億人超(当時)が利用するSNS(交流サイト)を基盤としてデジタル通貨を流通させ、資金融通や国際送金などに使うアイデアだった。ところが各国の政府や通貨当局が通貨管理やマネーロンダリング(資金洗浄)防止の観点から強い懸念を表明。フェイスブックはリブラ計画の方針転換に追い込まれた。

既存通貨の「怠慢」を指摘

 「既存通貨の怠慢を指摘しているのは事実だろう」。元財務官で主要国金融当局との連携を担った経験を持つ武内良樹氏は、エルサルバドルの動きやリブラの計画が出てきた意味をこう解説する。仮想通貨やその要素技術を使って、小さな国や民間企業が金融システムを抜本的に変えるような提案ができる時代になったわけだ。

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