北欧の小国、デンマークから生まれた再生可能エネルギー会社、オーステッドが世界市場を席巻している。もとは石油・ガス生産と、石炭火力発電事業が主力のエネルギー会社だった。

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 大きな決断をしたのは2008年。当時のアンダース・エルドラップCEO(最高経営責任者)がそれまで小規模に展開していた洋上風力発電事業に投資を集中させることを決断。石炭火力発電所の閉鎖を決め、各国政府の補助を受けながら大規模な洋上風力発電所の建設を始めた。

 ところが、12年ごろには欧州の債務危機などで、各国が財政出動を縮小。政府からの補助削減で洋上風力への投資から撤退するエネルギー会社があるなか、オーステッドはコスト削減に活路を見いだす。大規模なサイトに大型風力発電機を設置し、全ての部品のコストを削減するために調達、建設、運用、保守の全ての工程を見直した。

 結果として、12年には1メガワット時当たり167ユーロ(約2万2400円)だった発電コストが19年には56ユーロ(約7500円)と66%も削減した。オーステッドによると、このコストは他の化石燃料や原子力の発電コストより安い。このようなコスト競争力で、同社は世界最大手の地位に上り詰め、売上高に占める化石燃料事業の割合を大幅に低下させてきた。

 プロジェクトファイナンスを駆使して資金を集め、多数の開発実績で洋上風力発電の技術力を高め、安定的な収益基盤を築いてきた。20年12月の売上高は526億デンマーククローネ(約9500億円)、純利益は167億デンマーククローネ(約3000億円)で利益率は32%に達する。

 欧州での水素利用の潮流を受け、5月17日にはデンマークで風力発電の電力を使って水素を生み出すプロジェクトを始めることを発表した。

 欧州の再エネ企業の特徴は、「世界でもうける」ことを徹底している点にある。オーステッドは早くから海外展開を重視し、欧州各地はもちろんのこと、18年には米国の再生可能エネルギー会社2社を買収し、米国事業を強化。19年には台湾で大規模風力発電所への投資を決めた。

 オーステッドは、遅れて立ち上がりつつある日本の洋上風力発電市場にも乗り込む考えだ。欧州の再エネの巨人たちは、国内で市場が拡大せず、成長機会が限られた日本企業のはるか先を歩んでいる。

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