日本の温暖化ガス排出量を2030年度までに13年度比で46%削減する──。菅義偉首相はこう公約した。だが、この数値の達成可否など関係なく企業は脱炭素に向けて走り出している。国際競争の土俵で、温暖化ガスの削減は当然の責務であり共通の価値として根づきつつある。エネルギー分野で産業構造の変革を促すEX(エネルギー・トランスフォーメーション)は待ったなし。実現できなければ競争に敗れ、収益や雇用を失うだけだ。いち早く危機感を持ち、あるべき姿に向かって走り出した企業はどんな取り組みをしているのか、先進事例を追ってみよう。(写真=Yaorusheng/Getty Images)
(吉岡 陽、小太刀 久雄、ロンドン支局 大西 孝弘)
CONTENTS
PART1
出遅れれば雇用も貿易黒字も失う
再エネを使い尽くせ 本腰入れる需要家
PART2
カーボンニュートラルへあの手この手
変わる「経済合理性」 脱炭素の価値、急上昇
欧州編
オーステッド、イケアはここまでやっている
世界を視野に脱炭素で稼ぐ
PART3
脱炭素時代に日本的経営を再構築
後れを取った環境先進国 今こそパラダイムシフト