この記事は日経ビジネス電子版に『東京エレクトロン元社長・東氏「日本は波に強いヨットを目指せ」』(5月31日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月7日号に掲載するものです。

日本の半導体産業が弱体化する中、世界における日本の位置づけを提言してきた。現在は半導体とデジタル産業の戦略を検討する経済産業省の会議で座長を務める。日本には波に強いヨットのようなしなやかさが必要と説く。

(写真=加藤 康)
PROFILE

東 哲郎[ひがし・てつろう]氏
1949年8月28日生まれ。77年東京都立大学大学院修了、東京エレクトロン入社。半導体製造装置の事業拡大に貢献して96年に46歳で社長に就任した。国際人脈を築いて同社を世界有数の半導体製造装置メーカーに飛躍させた。2003年会長、13年に兼務する形で社長に復帰。16年に相談役となり、19年に会社の役職から完全に退いた。経済産業省の半導体・デジタル産業戦略検討会議で座長を務める。

半導体が米中技術覇権争いの主戦場になっています。国際的な戦略物資としてより重要になってきた一方、国内半導体産業の競争力回復が課題になっています。世界における日本の半導体シェアは1980年代後半の約5割から現状は約1割にまで低下しました。

 そうですね。80年代に日本が半導体産業を強化し、92年くらいまで世界シェアは首位でした。しかしピークからどんどんシェアが落ちる中、日本は半導体に関しては外から買えばいいではないか、という姿勢が目立つようになってしまった。

 半導体を多く扱う情報通信産業ですらそんな姿勢だったこともあってか、国がソフトウエア強化に力を入れ、半導体の位置づけは弱くなりました。私は「これではまずい」とずっと主張していました。ここにきてやっとです。

ようやく変わってきましたか。

 ITやAI(人工知能)、ビッグデータの利用促進でデータ量が爆発的に増え、半導体の重要性が高まりました。ほとんどの産業がデジタル化をしていかないと産業競争力を維持できない時代になったということでしょう。

 また生活様式が大きく変わった。みなさん、スマートフォンを手放せませんよね。もう消費者は半導体なしではやっていけません。半導体は「産業のコメ」から「生活のコメ」になったと言えるでしょう。

続きを読む 2/4 今までにない本気度

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3409文字 / 全文4545文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「米中衝突、コロナ、SDGs サプライチェーン新秩序」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。