自立し、変化に強い社員になってもらうための場を用意し始めた日本企業。次は、そうした社員たちが個性を発揮してくれる組織に変わらなければいけない。社員は会社の持ち物ではない。会社と社員の関係が対等になっていく。

 「うちの社員は真面目な人が多い。課せられた目標を達成しようと一生懸命になるあまり、閉塞感を感じてしまうこともあったのではと思う」。大手日用品メーカー、花王の仲本直史・人財開発部門副統括はこう振り返る。

 2021年1月、花王は人事評価制度を刷新した。これまでは全社の戦略を掲げ、それぞれの事業部門や社員が100%の達成を目指す目標に落とし込み、社員の達成度を評価してきた。いわゆるKPI(重要業績評価指標)に基づく目標管理制度だ。

 この制度の下でも会社はきちんと成長してきた。だが、社会は目まぐるしく変化する。とりわけESG(環境・社会・企業統治)を重視する近年の風潮は、洗剤やトイレタリー製品を手掛ける花王に、環境保全に向けたさらなる対応を迫っている。また、少子高齢化とそれに伴う人口減少時代を見据え、国内トップの地位に甘んずることなく新市場開拓を進めなければならないとの課題も抱えている。

 そうした中で生き残る会社になるにはどうすればいいか。花王の長谷部佳宏社長は20年12月にスタートした中期経営計画の大きな柱の1つに「社員活力の最大化」を掲げた。社員がより柔軟に、自由闊達な発想を持って仕事をしてもらう必要があるとの問題意識があった。その一環として取り組んだのが人事評価制度の変更だ。

「OKR」で大局を意識させる

 変更に当たり採用したのが、OKR(Objectives and Key Results、目標と主な結果)と呼ばれている米国発祥の人事評価制度だ。近視眼的な目標重視に陥らずに、社会情勢や会社全体が目指す方向などの大局を意識し、新しいことに積極的に挑戦してもらいたいという狙いがあった。

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