経営のお手本となるような多角化を進めてきたが、コロナ禍で巨額の赤字を計上した。双日からの出資を受け、コロナ収束後を見据えた成長戦略を描く。外食の機会が減ったことで、かえって期待は高まっているとみる。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=的野 弘路)
PROFILE

黒須 康宏[くろす・やすひろ]氏
1958年静岡県生まれ。82年に名城大学商学部を卒業。学生時代からロイヤルホストでアルバイトとして働いており、同年にロイヤル(現・ロイヤルホールディングス)に入社。2010年に管理本部副本部長、11年に取締役、16年から現職。

2020年12月期は275億円の最終赤字に終わりました。新型コロナウイルスの感染拡大は第4波ともいわれています。足元の状況はいかがですか。

 昨年の状況を振り返ると4月、5月が「底」でした。新型コロナ対応にも慣れてきましたが、今も感染の山と谷があって、十分な回復には至っていないのが現状です。

政府の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置は飲食店への時短要請などが主な対策で、外食産業に痛みを押し付けているような印象を受けます。

 マスクを外さないと食事はできないし、近距離の会話が飛沫感染の原因となるのは事実です。そこから外食に焦点が当たっているのだと思います。

 一方で、外出の機会が減ったことで、家族や友人と外食できない状況が続いています。そのため、外食の楽しさ・喜びといったものを消費者の皆さんもあらためて発見しているのではないでしょうか。ですから、ワクチンなど感染予防の対策が普及すれば、消費者が外食に戻ってくる動きも広がると考えています。

一律支給だった時短協力金が、大企業には1日最大20万円が支給されるようになりました。けれども、大企業は依然として苦しい状況です。

 大企業、中小企業と支給の在り方が段階的になり、十把一絡げでない施策となったことは評価できます。「大手だから資本力もあって大丈夫だろう。でも中小はそうではない」という議論はもう通用しません。当社も大きく資本を毀損してしまいました。

一方で、中には時短要請に応じない企業もあります。

 外食業界の中の話なのか、日本全体の話として考えるのかの違いでしょうね。他社はおいておいて、医療従事者や関係者の方々のご苦労や感染拡大の社会に与える影響を考えると、私どもは国や自治体の要請に従う方針を貫きたいと考えています。

今は厳しい状況ですが、消費者は外食の楽しさを再発見している。感染拡大が終息すれば外食はV字回復できるということですか。

 完全に元の状態に戻るかというと、それは難しい。業界内でも各社がそれぞれ顧客を取り戻そうと躍起になっていますから、コロナ後の競争は激しさを増すでしょう。その時を迎えるため、今どう備えるのかが、非常に重要です。

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