この記事は日経ビジネス電子版に『カフェ&バー「プロント」34年目の大転換、「誰のための何屋なのか」』(4月22日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月10日号に掲載するものです。
東京や大阪などを対象にした3度目の緊急事態宣言で外食企業の苦悩は深まっている。それでもこの窮地を乗り越えようと、各社は知恵を絞り、新たな一手を打ち出している。生き残りを懸けた各社の奮闘は、少子高齢化に直面していた外食産業の変革を促す。

カフェ&バー「プロント」など全国で約320店舗を展開するプロントコーポレーション(東京・港)は4月10日、ブランドを一新した1号店を、東京・銀座に開いた。昼は働く20~30代の男女をターゲットにした洗練された喫茶、夜は入り口にのれんをかけた酒場という全く違った業態を運営する。
プロントは1988年の創業以来、昼は喫茶とランチ、夜はアルコールと時間帯を問わずに入りやすいシームレスな店づくりを売りに成長してきたが、今回のブランド刷新では、あえて昼と夜の線引きを明確にした。
なぜ30年超の成長をけん引してきたブランドの刷新を決めたのか。コロナ禍で「誰のための何屋なのか」を見つめ直した結果だという。
「緊急事態宣言が解除されれば、一人勝ちできる」
2020年4月に初めて発令された緊急事態宣言の解除が迫る頃、プロントコーポレーションの片山義一取締役はこう予想していた。宣言が解除されても、感染の不安が残る中では繁華街の人出はすぐに戻らない。となれば、仕事帰りに駅前でさっと飲めるプロントは、コロナ禍の外食需要の受け皿になれるはず、という見立てだった。
しかし予想は完全に外れた。40代以上の管理職クラスのオフィスワーカーは外食を敬遠し、緊急事態宣言中のフラストレーションを解消したい20~30代の若者にはプロントは選ばれなかった。片山氏には、カフェとして競合するスターバックスコーヒーは順調に客足が戻っているように見えたが、プロントは6割程度しか戻らなかった。
スターバックスに力負け
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