この記事は日経ビジネス電子版に『同僚と一緒に「温泉旅行テレワーク」、仕事になるのか』(4月14日)などとして配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月3日号に掲載するものです。

会って話せない孤独感、対面で売り込めない営業、抑揚がない会議──。テレワークを始めると想定外の障害が数々立ちはだかる。しかし、IT機器も方法論も発展途上だからこそ工夫の余地は大きい。

 「直接、顔と顔を合わせないテレワークというワークスタイルでは、社員の中にストレスのリスクがあることがつまびらかになった」。インターネット接続大手ビッグローブ(東京・品川)の有泉健社長は社内アンケートの結果から、目に見えない課題をくみ取った。

温泉旅館でワーケーションを体験するビッグローブの社員。オフィスに集うよりも密度が高いコミュニケーションができたという

 2020年4月の緊急事態宣言発令に先んじて、全社一斉にテレワークを導入したビッグローブ。約8割の社員が「出社は月に数回だけ」と回答するほどテレワークが浸透したが、一方で3分の2近くの社員が「コミュニケーションが取りにくい」という不満を挙げた。この不満を放置するとボディーブローのように効いてきて、ストレスから精神面での不調に陥る社員が増えるのではないかと懸念した。

 同社が解決策として打ち出したのが、少人数の同僚と出掛ける「温泉ワーケーション」だった。ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語。テレワークの広がりとともに一部企業が始めていたことから試してみることにした。温泉旅館で寝食を共にしながら「温泉で働き、温泉で癒やす」という新しい働き方を、社員自ら体験した。

 効果は、データで表れた。別府温泉郷(大分県)に向かった広報グループの田中秀宗氏の場合、医療機器を使って滞在の初日と最終日で比較すると、自律神経のバランスが明らかに改善されていたのだ。開発部門のメンバーからは「メリハリがあってよかった」との声が上がった。旅館では食事の時間が決まっているため、そこを区切りとして集中的に作業を進められたという。

続きを読む 2/4 他社も巻き込み効果測定

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3114文字 / 全文4649文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「テレワークやめるか続けるか 見えてきた成功の条件」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。