「フルフレックス」導入可能に

 いわば、この20年間の総仕上げがカルビーニューワークスタイルだった。所属部門が業務に支障がないと判断すれば、単身赴任も解除できる。工場勤務者を含む全正社員にスマートフォンの貸与を拡大した。社員の出勤状況を把握するため、勤怠管理アプリも、米サービスナウが提供する企業向けクラウドサービス「ナウ・プラットフォーム」をベースに、開発から動作検証まで8日間で立ち上げた。

 フルフレックス制度では、1時間以上の勤務で出勤扱いとし、早朝でも夜でも働ける。育児のため、時短勤務を選んでいた社員も、自宅で「フルタイム勤務」ができるようになった。「家庭菜園をするために土地の開墾から始めた」「庭にスケボーパークを作った」という社員まで現れ、趣味を楽しむ余裕まで生まれている。

 人事部門では半年ほど前に「カルビーラーニングカフェ」をスタートした。社員なら誰でも参加できるオンラインの「ゆるい勉強会」で、マインドフルネスやリーダーシップ、幸福学など、多彩なテーマで社内外の専門家を講師に迎えて定期開催している。

 「もともと社員の皆さんに学ぶ機会を提供したいという思いはあった。テレワークが進み、『オンラインで何でもできるよね』というところから『これもオンラインで』と始めた」。こう振り返るのは、人事総務本部D&I・スマートワーク推進室の石井信江室長である。

 新しい働き方は、新しい商品も生んだ。「コロナ疲れの心を癒やすには、適度な休息が重要だ」という気づきから、マーケティング部門と人事部門が連携して開発したのが、20年9月に発売してヒットした「otomo pack(オトモパック)」だ。

 「大人のじゃがりこ」や「Jagabee(じゃがビー)」「miino(ミーノ)」など人気のスナック菓子を、チャック付きでなおかつ、机などに置いたときに取り出し口が上を向く「スタンドパック包装」で展開した。外に持ち出したり、机の上に置いたりして、仕事の合間などに手軽に食べられるようにした。

 テレワークは完全に同社の働き方に組み込まれており、「(コロナ禍が収まっても)元に戻る理由がない」と石井氏は言い切る。20年3月期から4年間の中期経営計画でも「働き方改革によるパフォーマンス向上」を掲げた。本社オフィスはテレワーク時代に合うようリニューアルを予定している。20年間の経験と実績を基にニューノーマルを模索する日々が続く。

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