この記事は日経ビジネス電子版に『中国アリババの強さの源泉、「達磨院」とは何か』(3月25日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』4月5日号に掲載するものです。

アリババは中国の経済・社会を大きくつくり変えてきた。その前提となる技術を生み出す研究開発機関が同社にはある。「達磨院(DAMOアカデミー)」。いったいどんな組織なのか。

<span class="fontBold">達磨院(DAMOアカデミー)のトップを務める張建鋒氏</span>(写真=VCG/Getty Images)
達磨院(DAMOアカデミー)のトップを務める張建鋒氏(写真=VCG/Getty Images)

 家具などの写真を撮影すると、ニトリで販売されている類似した商品をおすすめしてくれる──。家具大手ニトリホールディングスが提供しているモバイルアプリには「カメラ de サーチ」という機能が搭載されている。2019年秋に、ニトリのアプリをアップデートした際に導入された。

 例えば、消費者が街中や知人の家などで気に入った家具に出合ったときに、アプリ上で画像検索してもらうことで、ニトリの類似商品に誘導することができる。さらに、リアル店舗で確認してから買いたい顧客のために各店舗の在庫の有無も確認できる。

 実はこの機能にはアリババ集団傘下のアリババクラウドが提供する「Image Search(イメージサーチ)」が使われている。

ニトリの画像検索に貢献

 ニトリO2O推進室新サービス開発グループの岡本孝正氏は「中国でイメージサーチを実際に使い、その精度とスピードに驚いた」と話す。現地でアリババの技術を体験した中で、特に関心を持ったのがイメージサーチだったという。「街中の店舗などで商品を撮影し、イメージサーチを通して(アリババのネット通販プラットフォームの)タオバオで検索すると、より安い価格で売られている同じ商品がすぐに出てきた」(岡本氏)

 SNS(交流サイト)のインスタグラムの流行などから、岡本氏は「画像での検索が主流になる」と見ていた。そこでアプリのアップデートを機に、画像検索機能を搭載することを考えた。

 開発段階では米グーグルなど10社ほどを候補に比較検討した。しかし、当時はまだ画像による検索を商用に使って実績を上げている企業は少なく、中国で実績のあったイメージサーチを採用することが決まった。イメージサーチを導入した日本企業はニトリが初めてだ。検索にかけられた画像は一切保存されないといったセキュリティー対策が施されている。

<span class="fontBold">ニトリのアプリに搭載されている「カメラ de サーチ」はアリババクラウドの技術を使っている</span>(写真=加藤 康)
ニトリのアプリに搭載されている「カメラ de サーチ」はアリババクラウドの技術を使っている(写真=加藤 康)

 アリババの技術を使ったカメラ de サーチは消費者向けのアプリだけでなく、店舗スタッフが持つ端末にも搭載されている。ニトリの店舗には平均で1万5000~2万点の商品が並び、EC(電子商取引)サイト上では5万点にもなる。大型店ではフロアごとに担当スタッフが分かれており、店舗全体の商品を把握している人はほとんどいない。そのため来店客に商品について聞かれても、在庫の有無や商品の場所を瞬時に答えることが難しいという課題があった。「顧客が尋ねた商品について店舗スタッフが商品部にメールで問い合わせることもあった」(岡本氏)という。

 カメラ de サーチを使うことで、顧客に在庫のある店舗の紹介や取り寄せの案内を、その場で完結させることができるようになった。現在では消費者と店舗スタッフによる検索が合計で月に数十万件ほどあるという。岡本氏は今後について、「イメージサーチを活用しつつ、そこで集まったデータを基にして顧客にどうアプローチしていくかを検討していきたい」と話す。

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