2050年に国内の発電電力量の50~60%を担う再生可能エネルギー。けん引役となるのが「4500基」の設置を目指す洋上風力だ。海外の関連メーカーから歓迎の声も上がるが、実現への道筋は見えない。

<span class="fontBold">2019年に運転開始した国内初の洋上風力発電。東京電力リニューアブルパワーが千葉県銚子沖で運営している。「4500基」という目標には課題が多い</span>
2019年に運転開始した国内初の洋上風力発電。東京電力リニューアブルパワーが千葉県銚子沖で運営している。「4500基」という目標には課題が多い

 2020年12月16日、福島県沖に立つ2基の浮体式洋上風力発電が撤去されることが決まった。もともと3基あり、復興の象徴でもあった。国が約600億円を投じ実証実験用として13年以降、順次運転してきた。だが、最も出力の大きい7000キロワット(kW)の風力発電は20年春に先行して撤去。残る2基も21年中に撤去される。

 「もったいない」「巨額を投じたのに事業は失敗だったのか」。地元の福島県では撤去を惜しむ声が出る。国は実証実験の役目を終えた洋上風力発電を民間企業に売却することも視野に20年夏、公募を実施。応募企業には大手企業の名前もあったが「該当する企業がなかった」などと幕引きを決めた。

日本メーカーはすでに撤退

 「釈然としない」撤去の理由について関係者は「風車を手掛けた日本メーカーが撤退したことが影響しているのではないか」と話す。3基のうち2基を手掛けた日立製作所は19年に生産撤退。残る1基を担当した三菱重工業も販売のみで生産をやめた。

 前日の12月15日。そんな撤去の決定に抵抗するかのように、経済産業省や国土交通省、電力会社、国内メーカー、建設会社をメンバーとする洋上風力の官民協議会が「洋上風力産業ビジョン」を公表した。

 「日本はついにここまでやるのか」

2050年に向けて再エネを大幅に増やす
●日本の電源構成の割合(%)
2050年に向けて再エネを大幅に増やす<br /><span class="fontSizeXS">●日本の電源構成の割合(%)</span>
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 40年に世界第3位となる最大4500万kWの洋上風力を導入する目標を掲げた。欧州連合(EU)、中国に次ぐ規模で、国別に見れば第2位。ドイツの4000万kW、米国の3800万kWも超える。1基1万kWとして4500基となる。洋上風力の開発に携わるJERAの矢島聡・事業開発本部副本部長は「日本の目標は海外でかなり好意的に受け止められている。主要プレーヤーからの関心は高い」と話す。

 11年の東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、原発の相次ぐ停止の一方、太陽光発電などの再生可能エネルギーが増えた。とりわけ12年のFIT(固定価格買い取り制度)導入が起爆剤となり、太陽光は5000万kW超と10倍以上に伸長した。発電電力量に占める再エネの割合は10年度に9.4%だったが19年度には18%となり、50年には50~60%を目指す。その再エネ拡大をけん引するのが洋上風力だ。

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