2020年10月、菅義偉政権は、温暖化ガスの排出が実質ゼロとなる「カーボンニュートラル」を50年までに実現すると宣言した。続いて12月末、実現の道筋を示す「グリーン成長戦略」を発表した。国内の乗用車の新車は30年代半ばまでにすべて電動車とし、40年までに原子力発電所45基分の洋上風力発電を導入、50年までに再生可能エネルギー比率は50~60%を目安に引き上げる──。脱炭素をてこにした成長戦略だが、その達成はとてつもなく困難である。本当に達成できるのか。(写真=Jose A. Bernat Bacete/Getty Images)

(吉岡 陽、武田 安恵、ロンドン支局 大西 孝弘、中山 玲子、江村 英哲)

CONTENTS

PART1
2050年カーボンニュートラルへ
押っ取り刀の決意表明 いばらの道、視界不良

INTERVIEW
小泉進次郎・環境大臣に聞く
「日本はガラパゴスへの道をぎりぎりで踏みとどまった」

COLUMN
脱炭素社会を読み解く 用語解説

PART2
夢のエネルギーに悩ましい現実
頼みの綱「水素社会」 立ちはだかる3つの壁

PART3
主力電源へ果てしない道のり
4500基の洋上風力 30年後へ大風呂敷

PART4
先行する欧州の本音と実力
産業政策で官民一体 「グリーン覇権」の野望

PART5
必要なのは変化を恐れないこと
「環境先進国」再び 国は企業をリードせよ

編集長インタビュー
梶山 弘志 経済産業大臣 目標は高い、やるしかない

日経ビジネス2021年3月8日号 24~25ページより目次