この記事は日経ビジネス電子版に『義父の遺志を継いだ新事業 小さいからこそ貫ける理念経営』(2月10日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』2月15日号に掲載するものです。
株主と競争を至上とする資本主義は格差の拡大を招き、反発が生まれている。経営と所有が近い中小企業は、ガバナンスの懸念はあるが、理念経営を育む土壌がある。従業員やユーザーなど様々なステークホルダーと生きる姿は会社の未来を映す。

CBcloud(東京・千代田)の松本隆一CEO(最高経営責任者)は2013年、亡き義父の遺品からA4手書きの「事業計画書」を見つけた。
「軽貨物運送業を営むドライバーの経営状況は厳しい。当社がこうした人材を集め、企業へ派遣する」

松本氏は義父の志を継ぎ、配送ドライバーと荷主をマッチングするオンラインサービス「PickGo(ピックゴー)」を開発した。
荷主が荷物の集荷先や配達先など依頼内容を入力すれば、ドライバーの評価などを確認しつつ選べる仕組み。営業力が弱い個人事業主でも仕事を得られるプラットフォームだ。
もとは羽田空港で航空管制官として働いていた松本氏が縁もゆかりもない物流業界に飛び込んだのは義父の理念と情熱に心を動かされたからだ。
初めて義父と会ったときは、現在の妻の交際相手でしかなかった。自動車整備と販売業を営んでいた義父は、電源が弱い軽貨物車両を改良して冷凍の軽貨物車を開発した。住宅街に増えていた食品スーパー向けなどに、小回りが利く冷凍車が必要との読みは当たった。想定外だったのは買い手の多くが個人事業主のドライバーだったことだ。
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