この記事は日経ビジネス電子版に『「ミミズ学」を追求するワキ製薬、倒産寸前から研究開発企業へ』(2月3日)、『「変な客こそ本命」、ドラッカーの教えを厳守する京都の町工場集団』、『「隠れたチャンピオン」続々、ドイツの小さくて強い企業たち』として配信した記事などを再編集して雑誌『日経ビジネス』2月15日号に掲載するものです。

取り巻く環境が厳しさを増す中、中小企業はどこに活路を求めればいいのか。混沌とした状況の今こそ、自らの強みを生かして素早く決断できる中小の好機だ。3つの強みによってイノベーションを生み出せば、「不要論」とはおさらばできる。

最上インクス(左)が加盟する京都試作ネットはイオンリテールの買い物かご除菌装置を開発(右上)。クロスエフェクトは精緻な心臓模型を作った(右下)(写真=宮田 昌彦)

 マネジメントの概念を確立し、「経営学の父」として知られる、ピーター・ドラッカー。同氏の教えを約20年間実践し、成果を上げている経営者の集団がある。京都府内の中小製造業約40社で構成される京都試作ネットだ。

 京都試作ネットの源流は、1990年代後半に始まった町工場の「親父」10人の勉強会だ。当時、大手メーカーによる生産拠点の海外移転が進み、町工場は厳しい環境に置かれていた。

 悩みながら議論する中、ドラッカーのある経営理論が目に留まった。「企業の目的は、顧客の創造」。人々の中にある潜在的なニーズを捉えた商品を開発し、新市場を作り出すことが企業活動の目的という意味だ。

 だが、日本の中小製造業が得意とするのは、発注元から依頼されたものを図面通りに正確に安くつくること。長年下請けに甘んじていたことで、自ら商品を生み出すことは不得手なことが多い。そうした状況を打開しようと、2001年に京都試作ネットを発足した。

 京都試作ネットが窓口となり、大手メーカーなどから仕事を受注。案件ごとに会員企業のいずれかが担当する仕組みだ。ポイントは、組織名の通り「試作」に特化すること。いくら案件をさばいても、量産の仕事を続けていれば、新興国が安価な労働力を武器に台頭する中で勝ち目はない。製品の開発・製造の上流工程である試作を手掛けることで、最先端のノウハウを吸収しようと考えた。

変な客こそ、本命

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