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この記事は日経ビジネス電子版に『一強中国の死角(3)長沙の平和堂でロレックス品切れの意味』『一強中国の死角(4)テスラ越え40万円EVを体験 下克上は起きるか』(1月21日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』1月25日号に掲載するものです

米国を中心とした反中のうねりに世界を覆うコロナ禍……。急成長を遂げ、世界一の経済大国をにらむ中国に逆風が吹いている。だが、同国はニューノーマルへの適応を武器に着々と覇権への道を歩む。

 中国の南西部に位置する広西チワン族自治区柳州市。成長を謳歌してきた同国の中でも決して豊かとはいえないこの地方都市に拠点を置く自動車メーカー、上汽GM五菱汽車が「テスラ越え」を果たした。

 2020年7月に発売した小型電気自動車(EV)「宏光MINI EV」の人気が止まらないのだ。同9月から12月まで4カ月連続で新エネルギー車の中で販売台数トップを維持し、20年末までに12万7651台を売り上げた。

50万円を切る価格で人気の小型電気自動車「宏光MINI EV」

 「最高時速は100kmで、低速専用の車線を使えば高速道路も走れます。今の納期は1カ月半ほどですね」。柳州市内にある販売店の従業員はこう言って宏光MINI EVの人気をアピールした。

 見た目はかわいらしく、日本の女性向けの軽自動車のような印象だ。実際、車幅は1.49mと軽とほぼ同じサイズ。ただし、全長は2.91mと短くドアは2つしかない。折り畳むとフラットな荷物入れになる後部座席の工夫で、最大4人乗りを実現した。

 用意されているモデルは3つ。エアコンや助手席の遮光板を削減した航続距離120kmの下位モデルは2万8800元(約46万円)と、EVベンチャーが群雄割拠する中国市場でも驚異的な安さだ。同120kmで中位モデルが3万2800元。搭載電池容量を増やし航続距離を170kmとした上位モデルが3万8800元だ。