この記事は日経ビジネス電子版に『失敗こそ成長の源、ユニクロ・柳井氏が歩んだ道』(1月12日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』1月18日号に掲載するものです。

アパレル業界で売上高が世界3位となったファーストリテイリング。急成長の裏にある数えきれない失敗を、柳井正氏は率直に認め、次の一手につなげてきた。今掲げる「正しいこと」にも通底する、失敗を直視する経営で、どう飛躍したのか。

山口県の紳士服店からアパレルの世界大手に成長した
●ファーストリテイリングの業績の推移と主な出来事
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(写真=中:時事)
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 「我々は今、世界最高のポジションにいるんじゃないかと思います」。2020年10月15日。都内で開いた20年8月期の決算説明会で、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長はどこまでも強気の姿勢を見せた。

 コロナの影響を受けても業績は底堅い。主力業態であるユニクロの国内事業は、緊急事態宣言が解除された6月以降、既存店とEC(電子商取引)を合わせた売上高が7カ月連続で前年実績を上回った。

 1年の半分がコロナ禍に見舞われた20年8月期の連結売上高は2兆88億円。前の期比12.3%減ったが、ライバルのインディテックス(スペイン、19年11月~20年10月で計算)が18%減、へネス・アンド・マウリッツ(H&M、スウェーデン、19年12月~20年11月期)が20%減だったのに比べ、ダメージを最小限に抑えた。

 主力市場のアジアでコロナ感染が欧米に比べ抑えられているという理由だけではない。ユニクロの服はトレンドを追わず、ベーシックなものが中心。「我々のコンセプトである『究極の普段着』は仕事をする時も家にいるときも着心地が良い。そういう服だから評価されるのでは」(柳井氏)。コロナ下で広がる在宅ワークや非対面といった新しい生活様式が追い風になっている。

 21年8月期の売上高見通しは2兆2000億円とコロナ前の19年8月期から4%減の水準を取り戻す。営業利益も過去最高に近い2450億円を見込む。米Jクルーや米ブルックスブラザーズなどのグローバルブランド、レナウンといった国内の名門が経営破綻するなか、ファストリの復調は際立っている。

 だが、柳井氏はこれでも満足していない。「私はもっとたくさん売って、たくさん利益を上げようと考えた。高い目標がない限り、イノベーションは起きない」。公表した計画値について「最低これだけは達成してほしい」。同席した岡﨑健CFO(最高財務責任者)の前でくぎを刺した。

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