かねて発信してきた「正しいこと」へのこだわりを経営の主軸として掲げ始めた。コロナを機に改めて考えた。働くとは。仕事とは。そしてこの考えにたどり着いた。2兆円企業を築いた経営者の目標は何なのか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)
PROFILE

柳井 正[やない・ただし]氏
1949年、山口県宇部市生まれ。71年早稲田大学政治経済学部卒、ジャスコ(現イオン)入社。72年、父親が設立した小郡商事(現ファーストリテイリング)入社。84年、米国の大学生協に影響を受けたセルフサービスの売り場が特徴の「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」を広島市に開業し、人気となる。同年社長。94年広島証券取引所上場。97年東証2部上場、99年1部に。2002年会長、05年会長兼社長CEOに復帰。71歳。

昨年来「正しい経営」に取り組むと改めて公言しています。どういう意味なのでしょうか。

 僕は、人間の英知は古今東西変わりがないと思っていて、その集約したものが真善美(しんぜんび)だと思っているんです。真とは正しいこと。経営は特に、道理も感情も全部筋が通っていないといけない。一般に通用する正しい考え方で経営しないといけないということです。企業理念の中にも「正しさへのこだわり」を入れている。それは長期的にお客様の生活が良くなるということです。

具体的に「正しい経営」とはどんなことを指すのでしょうか。

 ごまかしをしないということですね。企業経営者など、多くの人がごまかしてその場限りの姿勢でしょう。当面のごまかしで逃げられると思っている。

 世界を見渡すと、先進国は制度疲労があると思います。特に米国がひどい。世界で一番力の強い人が自分ファーストと言ったら世界がめちゃくちゃになります。どの国も選挙のことしか考えていないでしょう。最終的には全体主義やポピュリズム、そしてそれが同調圧力になり、国は滅びますよ。

国家が制度疲労する中で、企業の果たす役割をどう考えていますか。

 世界はつながっていて、企業と個人は国境を越えられるんです。企業の目的は、どこで商売しようと、そこの国の国民を幸せにすることです。国家を幸せにするんじゃなく、その国の国民を幸せにすることが大事。

続きを読む 2/4 炭鉱の町で学んだこと

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