この記事は日経ビジネス電子版に『米国分断、米中対立…バイデン効果「特になし」の衝撃』(12月23日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』12月28日・2021年1月4日合併号に掲載するものです。

一部でワクチン投与も始まり、「お先真っ暗」の状況は脱しつつあるコロナ禍。だが、米国の混乱や米中対立は“トランプ後”も簡単には収束しそうにない。それでも、2021年以降も分断が進む世界に希望のともしびはある。

 過去4年間、世界を翻弄してきたと言ってもいいトランプ氏がついに退場し、バイデン新政権の下、米国は再出発することになった。だが当面は、国内の分断や米中対立の改善は期待できない。そんな声も上がる。米国議会の一部が指摘する“台湾有事”を想定しておく必要もある。

世界の新型コロナとの戦いも、米中対立をはじめ懸案の解決も「長く、きわめて不確実なもの」となりそうだ(写真=左:ロイター/アフロ、中:AFP/アフロ、右:Biden Transition/picture alliance/アフロ(提供))

 「The ascent out of this calamity is likely to be long, uneven, and highly uncertain.(この悲惨な状況から回復する道のりは、長く、まだらで、極めて不確実なものになる)」

 国際通貨基金(IMF)の首席エコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は2020年秋、世界経済と新型コロナウイルスの戦いがいかに難しいものかについてこうメッセージを発信した。

 同氏が言うように、20年、世界がいかに「悲惨な状況」に陥ったかは、数字を見れば一目瞭然だ。まず、世界経済全体で20年は、4.4%のマイナス成長に陥る見通し。さらにはすでに160万人以上の命が失われており、経済の悪化に伴って少なくとも9000万人が極度の貧困に陥る可能性もある。

お先真っ暗は脱しつつあるが…

 「まだら(uneven)」で、「不確実(uncertain)」な状況も、すでに多くの人が知る通りだ。IMF試算によれば、20年の米国経済の下振れはマイナス4.3%、ドイツはマイナス6.0%、イタリアやスペインはそれぞれ2桁のマイナスとなる一方、中国は1.9%のプラス成長で、まさにまだらだ。不確実性でいえば、ゴピナート氏の発言の後、欧州にはたちまちコロナ第3波が到来した。再ロックダウンに伴ってさらなる景気悪化が今まさに懸念されている。

 もっとも、世界の試練と苦境の元凶であるコロナ禍を巡っては、「お先真っ暗」の状況からは、わずかながら脱しつつあるのも事実。感染者の増加は依然止まらないが、リスクを抱えながらも英国などではワクチンの市民への投与が始まった。直撃を受けた飲食業などでも、完全自動化など反撃の態勢が固まり始め、コロナ禍を逆手にとったニュービジネスも生まれつつある。

 だがたとえ状況が好転しても、21年、世界は依然として不安定な状況が続く。これまでに世界を揺るがし続けてきたコロナ禍以外の2大要因、「米国の混乱」と「米中対立」に改善の兆しがないからだ。

続きを読む 2/3 にじむ米国内修復への腐心

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