謝罪という最終手段
「当初、謝罪するという筋書きはなかった」(パナソニック)。ではなぜ、幸之助氏は頭を下げたのか。「会議の目的は製販が心を1つにすることで、幸之助の決意にはその力があった」と資料づくりを統括するパナソニック歴史文化マネジメント室の中西雅子氏は考える。本気の謝罪が両者のわだかまりを消し、「連帯感のようなものが生まれた」(『パナソニック百年史』)というわけだ。
松下電器はその後、「1地域1販社制」や月賦払いの限度を決める「新月販制度」など販売改革を相次いで実行する。自由が制限されるルールの導入には一部の販社が反対したが、熱海で回復した「信頼」は揺るがなかったそうだ。今もパナソニックの経営理念を支える「共存共栄」の精神。経営の岐路にあった同社が、その原点に立ち返ったきっかけが謝罪だったと言っていいだろう。
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この記事はシリーズ「謝罪の流儀2020 コロナで高まる「同調圧力」への対処法」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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