新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が始まって初めての本格的な冬を迎えた。感染防止への取り組みにもかかわらず、地域によっては第2波、第3波といった爆発的な再拡大に見舞われ、収束のめどは立たないままだ。

 1日当たり新規感染者数が第1波の約8倍に達している欧州。英国のロンドンでは再びロックダウン(都市封鎖)が実施され、これに抗議する人たちで街は混乱した。フランスやドイツ、スペインなども同じような騒動に見舞われている。大統領選が終わった米国では、両陣営がコロナ対策の方針で対立して足並みがそろわず、新規感染者数は11月29日、1日当たり20万人を突破した。また、東南アジアでは、感染を抑え込んだ国とそうでない国で経済立て直しのスピードに大きな差が出ており、域内の経済状況はまだら模様だ。

 一方、感染拡大を抑え込み、経済復興の我が道をひた走るのが中国である。強権政治の強みをいかんなく利用し、感染を封じ込める手法を確立。習近平(シー・ジンピン)国家主席は政権運営に自信を深めている。経済面では内向き志向を隠さず、貿易より国内経済を優先する新方針を打ち出した。

 欧米中でワクチン開発が実用化に向けて大きく前進したり、国境をまたいだ人々の往来再開に向けて各国で制度整備が始まったりするなど、コロナ禍収束に向けての明るい材料もある。しかし、移動規制を緩めると感染者が増加するなど、予断を許さない国は多い。経済や社会の安定の面で、国による状況はまちまち。そのコントラストは次第に強くなっており、むしろ世界的な「分断」が進んでいるように見える。

 国境を越える移動や貿易にブレーキが掛かった状態は、今後の外交、経済成長にどのような影響を及ぼすのか、米中欧アジアの特派員4人が各地の「コロナ禍の今」をリポートして展望する。

 なお、この特集では各パートにQ&A のコーナーを設けた。コロナ禍に関しては国や地域の制度や規制などから感染拡大の状況や対策などが大きく異なる。そこで、4人の特派員が相互に疑問、質問を投げかけ、それらの回答をまとめた。

(写真=左上:Matthew Horwood/Getty Images、中上:NurPhoto/Getty Images、右上:NurPhoto/Getty Images、左下:Mitchell Leff/Getty Images、中下:Kevin Frayer/Getty Images、右下:picture alliance/Getty Images)

(ニューヨーク支局 池松 由香、上海支局 広岡 延隆、ロンドン支局 大西 孝弘、バンコク支局 飯山 辰之介)

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日経ビジネス2020年12月7日号 26~27ページより目次