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激変する世界の気候、拡大する貧富の格差、米大統領選であらわになった分断の構図──。私たちは「次世代に残すべき世界」の選択を迫られている。バトンを握る現世代に求められる姿勢とは。欧州の知の巨人、ジャック・アタリ氏が語る。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=Eric Fougere-Corbis/Getty Images)
PROFILE

ジャック・アタリ[Jacques Attali]氏
仏経済学者、思想家。1943年にアルジェリアで生まれたユダヤ系フランス人。仏国立行政学院卒業後、81年に38歳でミッテラン元仏大統領の特別補佐官に就任。91年に欧州復興開発銀行(EBRD)の初代総裁。サルコジ元大統領のブレーン役も務めており、2007年にはフランス経済成長解放委員会の委員長に就いた。現在のマクロン大統領を見いだしたことでも知られる。欧州の「知の巨人」としてその発言が注目される人物である。著書は、『21世紀の歴史』(作品社)、『食の歴史』(プレジデント社)など多数。

米大統領選は接戦になっています(インタビューは投票日翌日の11月4日深夜に実施した)。当選者はまだ分かりませんが、トランプ大統領が再選、あるいはバイデン氏が勝利した場合、それぞれ世界はどのような影響を受けるのでしょうか。

 今日のインタビューはいつ出版される雑誌に掲載するのですか? 1月号ですか?(笑) 。すみません、今のは1月になっても米大統領選の結果が確定していないのではないかという冗談です。

 今の米国はマヒしています。バイデン氏が勝ったとしても連邦議会選挙では共和党が上院の過半数を保つ見通しのため、議会がうまく機能しないでしょう。トランプ大統領が再選したなら多くの米国人が失望するでしょうね。トランプ政権の継続は非常に厳しい日々が続くことを意味します。トランプ大統領は現在、彼が遂行している政策をより強く推し進めるでしょうから。

日経ビジネス2020年11月23日号 48~53ページより