国連が食糧不足を解消するよう訴えても、切迫感が湧かないかもしれない。しかし今年は過去の警鐘とは何かが違う。バッタ群の襲来、豚熱、大洪水──。新型コロナに襲われる中で生じる異変に、人々は食糧への不安を感じ始めている。
「何億人もの子供と大人に長期的に影響を与える世界的な食糧危機が差し迫っている」。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は6月、世界に向けてこんなメッセージを発信した。新型コロナウイルスで景気の悪化が続き、現状で6億9000万人とされる飢餓人口が急増する可能性を危惧した。
国連をはじめとする国際機関は飢餓の撲滅と食糧の安定供給を訴え続けてきた。「飢餓と食糧安全保障は地球的規模の問題で、世界人口の増加などに鑑み、緊急に一致した行動をとることが必要」(1996年、世界食糧サミットのローマ宣言)、「2030年までに食料生産を50%増やさねばならない」(潘基文国連事務総長、08年当時)。
ただ、食卓が豊かな日本人には実感が湧かない。先進国はどこも同じだ。飢餓はアフリカなど一部の地域の話で、自分とは関係ないと思い込んできた。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1420文字 / 全文1901文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「食糧危機という勝機 ニッポンが救う人口100億人時代」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?