コロナ禍でくしくも顕在化し始めた従来型の新入社員教育の問題点。今後は、より効率的な教育プログラムの開発が企業の間で進むのは間違いない。だが、“スマートすぎる新人教育”は、それはそれで落とし穴が潜む恐れがある。

(写真=PIXTA)
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 コロナ禍で顕在化したオンライン教育の想像以上の実力。企業の間では、2021年以降の新人教育の大幅な見直しを考える動きも広がっている。「オンライン化を軸に、参加者がより強い目的意識を持ち、業務スキルや社内風土を効率的に学べる形に変えていく」。大手金融機関の担当者はこう断言する。

 一方で専門家の中には、こうした状況に一抹の危惧を抱く声もある。

 「新入社員教育で必要なのは、仕事のやり方や社会のルールを学ぶことだけではない。大事なのは“社会が理不尽であるという事実”を教えること。オンライン化は確かに参加者の目的意識や教育効果を高めることもあるが、それだけではこの視点が抜け落ちかねない」。元国連職員で、現在はコーチング事業を手掛けているピースブロッサム(東京・港)の大仲千華・代表取締役はこう話す。

「この世は理不尽」を学ぶ意義

 人間は不完全な生き物で、特に日本社会は本音と建前の区別が強く、あちこちに「理不尽」が転がっている。激烈な競争での裏切り、自分に非がなくても責任を追及される局面……。働いていればいつかぶつかるそんな壁を乗り越えるためにも、20代の早い時期に「理不尽」を経験すべきである──。これが大仲氏の考えだ。

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この記事はシリーズ「コロナ後の新人 職場の希望かお荷物か」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。