「一緒に何かできないか」。脱・米国に向けて中国は打開策を探る。当初の目標達成は絶望的だが、半導体国産化に向けた士気は衰えていない。その中心的存在が、清華大学系の企業、紫光集団だ。

「米国のあれだけの攻撃を受けても、中国の半導体産業はまったくあきらめていない」。ある国内半導体メーカーの経営幹部が驚きの声を上げる。
この経営幹部によれば、最近、中国・清華大学の教授からこんな連絡を受けたそうだ。「米国の攻撃は終わりが見えないが、必ずアジアの時代が来る。もっと一緒に何かできないか」
習近平(シー・ジンピン)国家主席の出身校で、中国の理系トップ大学である清華大学。その教授が半導体での連携を求める姿には、「米国の技術を使った装置やソフトがなくても、アジアに蓄積された技術をかき集めれば打開策を見つけられるのではないか」という期待が垣間見える。
2015年に発表した産業政策「中国製造2025」で半導体の自給率を20年に40%、25年に70%まで引き上げる目標を打ち出し、半導体の国産化に突き進んできた中国。だが、足元の状況は厳しい。米国との対立激化の影響もあり、19年の自給率は15.7%にとどまった。米調査会社ICインサイツは20年5月に発表したリポートで、24年時点でも中国の自給率は20.7%にとどまる恐れがあると指摘した。
目標達成は絶望的な状況だが、中国の士気は衰えていない。中国政府傘下にある中国科学院の白春礼院長は9月、「西側諸国に死命を制せられている技術的問題」として、中国に露光装置や材料といった半導体の中核技術が欠けている問題を挙げた。その上で、「精鋭部隊を集めて解決する」と力強く宣言した。
10月14~16日に上海市で開催された「中国国際半導体博覧会(IC China 2020)」では、あちこちの展示ブースで「国産化」や「中国製」を強調する文字が躍った。米商務省による輸出規制で装置や材料の調達に支障が生じていると発表したばかりの半導体受託生産(ファウンドリー)大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)も出展し、中国の半導体製造技術の開発を今後もけん引する姿勢を示した。

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