ファーウェイへの輸出規制を強化した米国は、半導体受託生産大手も対象に加えた。中国政府の強力な支援で成長してきた中国の半導体産業とどう付き合うか。経済的な合理性だけでは戦略を決められなくなってきた。

米商務省による中国ファーウェイに対する半導体輸出規制が9月15日に発効した(写真=AP/アフロ)

 「中国政府は半導体業界をバックアップする体制で設備投資意欲は旺盛。国内経済もまだまだ伸びるだろう。中国の半導体メーカーからは納入をせかされている状態だ」。中国で事業を展開する日本の半導体装置メーカーの幹部は強気の姿勢を崩さない。中国が国を挙げて進める半導体産業の育成が、一部の日本企業を潤してきた。

 その一方で、戸惑いを見せる企業も多い。「各国の法規制を順守するとしか言えません」。別の半導体装置メーカーの担当者は絞り出すように話す。「輸出規制が影響するかどうかも言えないんです」。米中対立のさなかに目立つのは避けたいという思いが透けてみえる。

 中国の成長シナリオに乗るか、半導体の「兵糧攻め」を繰り出した米国と協調するか。国内の半導体メーカーや製造装置、材料のメーカーが両サイドから「踏み絵」を迫られている。

ファーウェイはスマホ向けの「Kirin」やサーバー向けの「Kunpeng」などの自社開発の半導体も入手できなくなった(写真=ロイター/アフロ)

 安全保障上の観点から、中国が先端半導体の活用も製造もできないように攻撃する米国。9月15日には、中国・華為技術(ファーウェイ)に対する米商務省の輸出規制が強化された。この日以降、ファーウェイやその関連企業は米国製の装置や設計ツールを使った半導体を米国以外の国からも輸入できなくなった。

キオクシアHDは10月6日に予定していた東京証券取引所への上場を延期した

 先端半導体で米国製の装置やツールを使っていないものはほとんどないとされる。国内の半導体メーカーも影響は避けられない。画像センサーのソニーやフラッシュメモリーのキオクシアホールディングスは米商務省にファーウェイへの輸出許可申請を提出しているが、実際に許可が下りるかは不透明。フラッシュメモリーの市況悪化が懸念される中、キオクシアHDは目前に迫った上場を中止した。

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この記事はシリーズ「米中半導体ウォーズ 踏み絵迫られる日本の針路」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。