衝撃的な高速事故は、「バスの終わり」を意味するのか。乗り合いバスは半世紀近く斜陽産業に甘んじてきた。経営の活路を、人気の高速バスに求めたが、そこに安易に参入してくる業者が急増し、悲劇が起きた。しかし、この事故は、図らずもバス事業の可能性を暗示する。ニーズに応じて自由に運行ができて、初期投資が安い――。安全と新サービスを追い求めれば、バスは未来産業として蘇る。橋下徹・大阪市長が、改革の「一番の難題」としたのもバス事業だ。窮地にあるからこそ、斬新な経営アイデアが生まれている。そして、半世紀ぶりに増収となるバス会社が各地に現れた。磨き上げられた運行ノウハウは、アジアなど新興国も注目する。バスが「日本の輸出産業」として飛躍する日は近い。(写真左:時事通信、右:共同通信)
(上木 貴博、白壁 達久)
●乗り合いバスの輸送人員と乗用車の普及率

●バス会社と全産業の平均年収推移

●乗り合いバス事業者の収支(2010年度)
