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 しかし日本車への攻撃はこの後も続いた。通商拡大法232条に基づき自動車を「安全保障上の脅威」と位置づけ、完成車と部品の輸入に最大25%の追加関税をかけると脅した。そこで立ち上がったのが安倍晋三前首相だ。19年9月に実施したトランプ氏との会談で何とか矛を収めてもらおうとしたが、結局、「継続協議」となった。

 ここからの経緯が興味深い。最終的な判断を下す期限を同政権は何度も延期し、結局、大統領の任期終了に近い現時点でも追加関税は実現していない。1990年代のジャパンバッシングを乗り越えた日本勢は米国での地産地消をほぼ実現済み。日本の自動車産業に打撃を与えれば米国内の雇用や消費者にマイナスとなることを政権は理解していた。だからこその「事実上の無効」という判断なのだろう。

 トランプ氏が世界のメディアが書き立てるほど盲目でないことは、こうした「実績」からも導き出せる。海外からどう言われようと、保護主義的な路線を貫いてきたのは確かだ。