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首都圏の様々な場所で、外国人居住比率の高いエリアが急速に増えている。都心でも郊外でも異文化ゾーンが形成され、“街のモザイク化”が進む。今の状況が続けば、「非国際化ゾーンで分断されて暮らす日本人」は着実に増える。

JR蕨駅の西側には中華料理店や雑貨店が立ち並ぶ。

 急速に進むグローバル化。東京都内やその近郊には、「リトル・チャイナ」「リトル・マニラ」「リトル・インディア」などと呼ばれる国際化エリアが続々と出現し、街の個性を強めている。

 活気あふれる異文化ゾーンを歩くと、「このまま国際化エリアが首都圏にモザイクのように広がれば、日本人はやがて、残った地域の中だけで暮らすことになるかもしれない」などと妄想する人もいるはずだ。実は、そんな妄想が既に現実になっている人がいる。外国人の人口比率が9%を超える埼玉県内最大の国際化タウン・蕨市に、夫と3人の息子と暮らすBさん(39)だ。

 夫の地元であるJR蕨駅前の分譲マンションに引っ越してきたのは2008年。当初は街の国際色はさほど気にならなかったが、最近は、蕨市と川口市の境界に位置する自宅周辺を「周囲が急激に国際化する中で、偶然、島のようにぽつんと残った場所」とも感じ始めている。

東はクルド、西は中国。蕨は超国際化タウンになった
●蕨駅周辺の外国人居住のイメージ

 まず自宅の西に広がるのは“中国”だ。

 蕨駅西口からしばらく歩くと、住民約5000人のうち半数を外国人が占めるとされる「芝園団地」が現れる。1978年に日本住宅公団(現・UR都市機構)が建てた賃貸住宅で、90年代から外国人が増え始めた。団地内の小さな商店街には中華料理店や中華食材を売る日用品店が並び、青果店からはドリアン特有の香りも漂う。

 Bさんの自宅西側の“中国エリア”は、この芝園団地を北限に、1駅南のJR西川口駅西口周辺まで広がる。今や首都圏を代表するチャイナタウンとなった西川口はかつて風俗業が盛んだったが、埼玉県警が2004年、「風俗環境浄化重点推進地区」に指定。大半の風俗店が立ち退き、入れ替わりで中華料理店や中華系日用品店の進出が相次いだ。現在、人口60万人近い川口市では、外国人人口比率は6%。その大半は中国人だ。

日経ビジネス2020年10月5日号 30~33ページより