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明治維新に戦後。日本の大きな転換点には必ず世代交代があった。世の中を大きく変えるコロナ禍は、失われた30年でたまった澱(おり)を一掃するチャンスでもある。日本に多様性をもたらす若い世代が「再興」の担い手として名乗りを上げる。

中小企業のデジタル化を支援するヘイはコロナ禍でも70億円以上を調達。集客・予約システムを手がけるクービックを買収した(写真=的野 弘路)

 「史上最年少上場を目指しています」。

 2019年夏、大人びた雰囲気とあどけない笑顔とのギャップを併せ持つ22歳(当時)の経営者は臆することなくこう語った。

 面接なしで働きたい人と働いてほしい店舗側をマッチングする「Timee」を提供するタイミー(東京・豊島)の小川嶺社長。1年前、飲食業界はインバウンド需要に沸き恒常的な人手不足に陥っていた。タイミーはこうした時勢に乗り19年1月に約3億円を調達、同年10月には約20億円を再度調達した。

 史上最年少上場の記録は成功報酬型の求人サイトを運営していたリブセンス村上太一社長が11年に打ち立てた25歳1カ月。9年間破られていないこの記録に挑戦する資格を小川社長は十分に持ち合わせていた。

 新型コロナウイルスの猛威に同社が襲われたのは、こうしたさなかだった。タイミーは売り上げ構成比の8割を飲食店に頼っていた。1年前には想像もできなかった静寂が飲食店を覆い、一時は自信を失いかけた小川社長。それでも社員にこう伝え、コロナと真っ向から向き合う覚悟を決めた。

 「コロナ前の世界はもうない。世界は変わってしまった」

 人手不足が顕在化した物流や小売りなど取引先を開拓。そして、売り上げを昨年11月時点の水準に戻した。

 「コロナのおかげで自分も組織も強くなった」(小川社長)。幅広い業種に取引先を広げ、リスクに強い経営体制を短期間でつくり上げた。最年少上場のスケジュールも変更していない。

 景気悪化を嘆き、下を向く経営者が多い中、コロナ禍は若く、強い経営者を生み出す源泉となっている。