「自分ごと」の経営が危機に強い
関家一馬氏[ディスコ社長兼CEO(最高経営責任者)]

(写真=竹井 俊晴)
(写真=竹井 俊晴)

 逆風のときに大事なのが、社員それぞれが(日常の企業活動を)自分のこととして考えるかどうかだ。

 ディスコの場合、業績が悪化すれば多くの場合(独自の社内通貨)「Will(ウィル)」の個人収支が悪くなる。それは賞与などにも連動するようになっているため、企業としての業績を常に意識することになる。「市場環境の良かったときと同じように経費を使っていたら会社も自分も大変なことになる」と思うはずだ。経費の管理指針は、個人の意識が、会社の業務すべてを「自分ごと」と捉えるようになるという前提の上にある。

 ディスコでは業務を自由化している。経理部以外の部署の社員がいい経理システムを開発し、それが使われれば、開発をした社員には、システム使用料としてウィルが継続的に入る。経理部はそれでは仕事を失うので、常によりいいシステム、仕組みを考えていないといけない。そうすれば業務は進化し続ける。市場で皆が競い合っているのと同じ仕組みを持ち込んでいるだけで、失敗してもいい。

 当社では数年前から、社内で使う様々な機械を若手の技術者に作らせている。若手の調理人が従業員の食事を作って修業するまかない飯と同じ発想で「まかない装置」開発と言っている。世の中では最近、「ミスがないように」「失敗がないように」ということばかりを気にする傾向が強いように思うが、それでは人は育てられないのではないだろうか。

 いったん去ってもまた必ず来る危機に対処するためにも、失敗を恐れず挑戦できるようにすることが大事だと思っている。(談)

企業改革は顧客目線で
大矢恭好氏[コンコルディア・フィナンシャルグループ社長]

 もともと日本企業は変革すべき時期にあるといわれていた。IoTやAI(人工知能)など急速に技術が進歩する中、今まで主力だった企業の仕組み、製品がどんどん変わった。

 (コンコルディア傘下の)横浜銀行でも印鑑レス、ペーパーレス、金庫レスをしたいと言ってきたが、新型コロナにより皆がそれらの必要性を認識し、半信半疑から本気になった。

 従来の銀行のリストラは、店舗閉鎖やATMを減らすなど銀行都合だった。顧客目線で改革することの必要性がコロナで分かった。今までは当たり前のように「この手続きのためには来店を」と言ってきたことが、来店いただかなくてもできるようにどうすればいいかを考えるようになった。

 日本の再興のためには、企業の生産性の低さを改善することだ。少子高齢化、生産年齢人口が減少する中、政府が掲げる名目国内総生産(GDP)600兆円を実現するには、生産性を上げることが大事だ。企業の合理化のための設備投資と、生産性の向上が日本の経済力を上げる鍵になる。それは製造業だけでなく非製造業や行政も同じだ。

 今、人に頼っている業務をいかにIT化、システム化するかがポイントになる。今回のコロナ問題で如実に生産性が低いことが露呈した。給付金の着金が遅く、行政のデジタル化は進んでいなかった。国を挙げて何度もデジタル化しようと掛け声はあったものの、現実はそうなっていなかった。

 海外の良いところを見習って生産性の高い行政にして、民間企業もそれに適合するようにデジタルトランスフォーメーション(DX)していくべきだ。(談)