中古車解体にもITの力

 中古車を解体し、その部品や機器の輸出などを手がける会宝産業(金沢市)もその講座の参加企業。同社はもともと情報化には熱心で、廃車の査定・仕入れから解体、部品販売までを一元管理するシステムを05年ごろから構築し始めていたが、課題も残っていた。「個々の部品がもうかったのかどうかまで細かく分析できていなかった」と近藤高行社長は振り返る。

<span class="fontBold">中古車解体や部品の輸出などを手がける会宝産業(金沢市)は、データを徹底活用し工場の生産性を引き上げてコロナ禍に立ち向かう</span>(写真=山岸 政仁)
中古車解体や部品の輸出などを手がける会宝産業(金沢市)は、データを徹底活用し工場の生産性を引き上げてコロナ禍に立ち向かう(写真=山岸 政仁)
(写真=山岸 政仁)
(写真=山岸 政仁)

 例えば解体部門で1日に必要な工数などは、ベテラン社員が長年の経験と勘で決めていた。そのため必要以上に残業したり、進捗が遅れたりすることが珍しくなかった。データを分析することでこうした難題が大きく改善していったという。

 解体部門では部品生産量とかけた時間、工数などから生産性を算出し、ある時間で必要量に達しなければ人の配置を換えるなどして生産性を上げるようにした。「データから何を読み、どう分析して実行に移せばいいかが分かるようになった」と、ファクトリーサイエンティスト協会の講座に参加した海外事業課の宮川裕基氏は言う。

 同社の場合もコロナ禍で海外売上高が大きく変動するようになり、市場環境に社内の動きを同期させることが重要になった。それだけにデータ分析能力を高めた効果は大きかったようだ。

 サービス産業の側からも生産性改革の動きは少しずつ出始めている。

 「顧客との接点に人を多く使う流通業は生き残れなくなる」。小売業などの営業支援事業を展開するヒト・コミュニケーションズの安井豊明社長は今、事業の生産性革新に本腰を入れている。同社の柱は小売店やイベント施設の営業請負や旅行会社へのスタッフ派遣など幅広いサービス産業の営業、マーケティング支援。そこをITで変えようとしている。

 今年1月には、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドを設立。スタートアップ企業に投資し、その技術を営業支援事業に“注入”して生産性を上げる取り組みを始めた。

 投資第1号は、個人客が店舗でどのように回遊して買い物をしたかといった情報を収集して解析する独自技術を持つアドインテ(京都市)。客が持つスマートフォンから店内での移動情報を取得するところまでは珍しくないが、同社の場合はその顧客がどの地域に住む何歳程度の男性か女性かといったデータまで作り出せるという。

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