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人材を生かすも殺すも企業次第。特に欠かせないのが、サービス産業の生産性引き上げだ。コスト削減と徹底した事業の再構築に加え、デジタル化を産業全体に広げる必要がある。大企業も成長市場に果敢に出て行く開拓者精神が欠かせない。コロナ禍は再生の好機だ。

オフィスビルの事務所を閉鎖し、東京・池袋の旧店舗に本部を移したエー・ピーカンパニーと、業態の大改革にも動く米山久社長(下)(写真=清水 真帆呂)

 東京有数の繁華街、池袋駅西口前。飲食店が多く入居するビルの6階でエレベーターを降りると、その光景に驚かされる。カウンターにテーブル、キッチンが並ぶ空間は居酒屋そのもの。しかしあちこちの席に座っている人たちの前にあるのはビールジョッキや料理ではなく、ノートパソコンや書類だ。

 ここは居酒屋「塚田農場」などを展開するエー・ピーカンパニーが、東京・大門のオフィスビルにあった事務所を閉めて、元店舗へ6月に移った本部だ。

 「1円でもキャッシュアウトを抑えながら、事業を立て直していく。できることはなんでもやる」。米山久社長は真剣な面持ちでこう語る。

 コロナ禍で最も大きな打撃を受けたのが外食やホテル・旅館、航空などのサービス産業だ。中でも居酒屋は自治体による時短・休業要請や店舗が「密」になりやすいと見られがちなことなどから、売り上げを大幅に落とした。

 エー・ピーカンパニーの3月の既存店売上高は前年同月比で約41%減となり、国の緊急事態宣言が発令中の4月初めから5月末までは対象の全店(約180店)を休業した。

 日本の4~6月期の実質国内総生産(GDP)はマイナス27.8%(前期比年率)。リーマン・ショック時を超えるどん底から立ち直るため、企業にできることは何か。

日経ビジネス2020年9月7日号 38~41ページより