リーマンショックを大きく超えるマイナス成長となった
●日本の実質GDP成長率の推移
<span class="fontSizeM">リーマンショックを大きく超えるマイナス成長となった</span><br>●日本の実質GDP成長率の推移
注:四半期別実質GDP(国内総生産)の前期比年率推移
出所:UBSウェルス・マネジメントの資料を基に本誌作成(写真=2点:共同通信)
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 「新型コロナウイルスの感染拡大によって人の移動が大きく制限され、第1四半期の旅客数は(前年同期比で)90%前後の減少となりました」。ANAホールディングスの片野坂真哉社長は7月末、かつてない厳しさとなった2021年3月期第1四半期(4~6月期)の決算をこう説明した。

 1088億円の最終赤字となり、運休・減便に従業員の一部の一時帰休、役員報酬減額など必死にコスト削減を図っていることを明らかにした。ライバルの日本航空も4~6月期決算で、前年同期比で78.1%減収で937億円の最終赤字に転落した。

 8カ月前には考えもしなかった暴風が日本経済を吹き飛ばそうとしている。国内外の移動自粛・制限の影響をもろに受けた航空2社はその代表格だろう。

 日本経済新聞社が今年8月半ばまでに主要上場企業1703社を対象に集計した20年4~6月期決算は、売上高が前年同期比18%減と12年10~12月期以来の低水準になり、純利益は同57%減に急落。輸出が停滞し個人消費も抑制されたことで、20年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率27.8%減と戦後最大の落ち込みとなった。これで3期連続のマイナス成長だ。

リーマン危機との違い

 08年秋のリーマン・ショック時をも超える景気崩落から、日本は立ち直れるのか。リーマン・ショックは金融危機であり、低金利と過剰投資を背景にした信用創造がバブルを生み出し、破裂した。実体経済にも大きな打撃となったが、金融システムの再強化と過剰投資の清算が進めば修復できた。

 だが、コロナ禍は過去の危機とは性質が違う。人々の活動制限が起点となりまず実体経済から傷み、金融経済に波及しようとしているのである。

 当然、実体経済の修復が緊急の課題になるが、その難しさが浮き彫りになっている。世界では格差や富の偏在が改めて浮かび上がり、ウイルス封じ込めをきっかけに国家主義、言い換えれば強権主義が勢いを増した。資本主義の在り方や民主主義までもが問われ始めている。

 日本も別世界ではない。景気急落の裏には、日本型経済システム、社会構造の限界点が浮かんでくる。強い競争力を持ってきた大企業製造業がけん引し、生産性で劣るとされるサービス産業や中小企業がついていく構造だ。新産業や企業の勃興、旧来型産業との交代も少なく、雇用も既存の産業で抱えていくことになる。社会自体が安定を重視することもそれを後押しする。

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