逆風下で高い目標を掲げるリスクが高まる中、ノルマ制度を見直す動きも出てきている。だが、目標設定なしに組織が成長を続けるには、様々な前提条件が必要になる。「結果は後から付いてくる」とノルマを廃止し、狭き道に迷い込む会社も少なくない。

<span class="fontBold">金融機関などが営業ノルマの見直しや廃止に動き始めた。コロナ禍で、対面営業というこれまでの強みが発揮できないことも背景にある(写真はイメージ)</span>(写真=左:西村尚己/アフロ、中:PIXTA)
金融機関などが営業ノルマの見直しや廃止に動き始めた。コロナ禍で、対面営業というこれまでの強みが発揮できないことも背景にある(写真はイメージ)(写真=左:西村尚己/アフロ、中:PIXTA)

 「今はトップダウンの目標を社員に示す時期ではないと、会社として判断した」。明治安田生命保険企画部の渡辺俊哉部長はこう話す。

 同社は今年5月、約3万3000人いる「生保レディー」と呼ばれる営業部員の新規契約について、拠点ごとに設けていた販売目標を設定しない方針を決めた。2020年度は「顧客のアフターフォローに徹する時期」と位置付け、組織全体の業績目標も掲げない。経営陣は指標となるような数値は持っているが、現場には公開しないという。

 決断の背景にあるのは、言うまでもなく新型コロナによる販売現場の環境変化だ。4月7日に緊急事態宣言が発令されると、首都圏などで対面営業を自粛し、リモート営業に転換。その後、宣言の対象範囲が全国に拡大されると、全社的に対面営業を停止した。

 生保レディーの販売スタイルはこれまで対面が7割。対面の制限で新規顧客への接触が難しくなれば、既存顧客のつなぎ留めが一層重要になる。そこで新たな目標にしたのが「お客さまアクセス数」。当面、生保レディーは、契約数ではなく、電話やメールによる既存顧客への“接触回数”の増加を求められることになる。

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