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コロナ禍に直面し、手元資金を厚くする企業が相次いでいる。財務の余裕は、非常時の事業継続を担保する上で極めて重要だ。独自に算出した「戦略的“皮下脂肪”ランキング」で優等生を探してみた。

オリエンタルランドは長期の休園にも耐えられる財務基盤を構築している(写真=共同通信)

 平時から人、モノ、カネに余裕を持たせた経営を意識することが、危機に強く、そして変革し続けられる企業の条件となることはPART1で述べた。そして、余裕を持つことに対する企業の考え方を最も象徴的に示すのが財務戦略であろう。コロナショックを受けて、多くの企業が運転資金を確保したり、手元資金を厚くしたりしていることからも分かるように、危機の最中に最も大切になるのは現預金など流動性の高い資産だ。

 例えば、今回のコロナ禍で約4カ月休園を余儀なくされた東京ディズニーリゾート。運営元のオリエンタルランドを救ったのは、19年12月時点で3291億円あったキャッシュだった。1年間にパーク運営でかかった費用(売上原価と販売費および一般管理費の合計から、減価償却費を除いた金額。20年3月期)は3281億円。仮に1年間売り上げがなくても手元にお金が残る計算になる。「東日本大震災を機に半年間休園しても事業存続できる財務体質を構築している」と、SBI証券の田中俊シニアアナリストは話す。

4つの指標から偏差値算出

 経営の持続性を高めるためにも必要となる財務の余裕──。そこで本誌は4つの財務指標の分析を通じて、戦略的に“皮下脂肪”を蓄えている企業はどこなのか偏差値を付けてピックアップしてみた(「ぽっちゃり偏差値」の算出方法は次ページを参照)。

 1つ目は中長期で見た会社の安全性を見極める自己資本比率。資本全体のうち、どの程度を返済義務のないお金で賄っているかを示す。

 2つ目は短期的な支払い能力を判断する流動比率。短期で支払わなければならない負債(流動負債)に対して、換金性の高い資産をどれくらい保有しているかを示す。

 3つ目は負債比率。自己資本に対する負債の割合である。売り上げが落ち込んだ際は返済負担が重くなる。

 最後は総還元性向。これは利益のうちどれくらいを自社株買いや配当といった株主還元に回しているかを表す指標である。先述した流動比率が低かったり負債比率が高かったりしても、総還元性向が高ければ、資本を厚くするより株主へのリターンを重視する戦略を取っているからだと判断できる。

 最近はROE(自己資本利益率)を高める観点からも、配当を手厚くして自己資本を小さくしている企業も多い。だが今回の新型コロナのような有事になれば、こうしたお金も手元資金確保に使うことができるだろう。

 東証1部上場の時価総額上位100社はどの程度ぽっちゃりなのか。先に述べた4つの財務指標を相対的に評価して偏差値を付けたのが次の表だ。上位にはファナックやキーエンスといった財務優良企業が並ぶ。利益率の高い製薬会社のトップ10入りも目立つ。