(写真=アフロ)
(写真=アフロ)

「ぽっちゃり」の経営に通ずるのが、松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏が唱えた「ダム式経営」だろう。幸之助氏は1950年ごろ、技術提携の必要性を感じて米国企業を訪問した。当時、日本は戦後の焼け野原から立ち上がり、経済復興活動へ本格的に動き出したところ。そんな日本とは対照的な、余裕のある米国企業の経営を目の当たりにしたことが、ダム式経営を思いつくきっかけになった。

まず自らの力を正確に認識

 幸之助氏が創設したシンクタンク、PHP研究所の渡邊祐介理事によると、幸之助氏がダム式経営の大切さを感じたのは、米電池メーカーのユニオン・カーバイドを訪れたときのことだった。

<span class="fontBold"><span class="fontSizeM">松下幸之助</span>氏<br /><span class="fontSizeM">1894年~1989年</span></span><br />1918年に松下電気器具製作所(のちの松下電器産業、現パナソニック)を創業。一代で世界的企業に成長させた。62年には、米タイム誌で5ページにわたって詳しく紹介され、表紙も飾った。(写真=共同通信)
松下幸之助
1894年~1989年

1918年に松下電気器具製作所(のちの松下電器産業、現パナソニック)を創業。一代で世界的企業に成長させた。62年には、米タイム誌で5ページにわたって詳しく紹介され、表紙も飾った。(写真=共同通信)

 同社が1個15セント(当時の約54円)で販売していた乾電池について、同社の担当者に「いつから、この価格なのですか」と尋ねると、「30年間、この価格で売っています」という答えが返ってきた。2度の世界大戦を経ても価格が上がらなかったことに、幸之助氏は非常に驚く。当時の幸之助氏の分析によると、ユニオンは2~3割の製造施設を予備として持ち、製造側に余裕を持たせることで供給を安定させて価格のバランスを保っていたという。

 ただ、幸之助氏が説いたダム式経営は生産体制における「ダム」にとどまらない。著書『実践経営哲学』(PHP文庫)で、ダム式経営の考え方について次のように説明している。「ダムのようなものを、経営のあらゆる面にもつことによって、外部の諸情勢の変化があっても大きな影響を受けることなく、常に安定的な発展を遂げていけるようにする」。そこには「設備のダム、資金のダム、人員のダム、在庫のダム、技術のダム、企画や製品開発のダム」など色々なダムがあるとしている。

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