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 「踊り出してしまった」。6月8日、新型コロナウイルスの国内感染者がゼロになった報告を聞いたニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相はこう言って満面の笑顔を見せた。

 同国は2月初旬に中国からの入国をいち早く禁止し、3月下旬には都市封鎖(ロックダウン)に踏み切った。徹底した対策は「ニュージーランドモデル」と世界から称賛され、首相のリーダーシップに喝采が送られた。

 ところが新型コロナへの「勝利」を喜んだわずか2日後、OECD(経済協力開発機構)は同国の今年の実質GDP(国内総生産)成長率が前年比マイナス8.9%に落ちるとの見通しを公表した。主要産業の観光が世界で実施された移動制限で打撃を受けるのが主因だ。新型コロナを抑え込んでも人の流れが途絶えたままでは景気回復は難しく、失業率は10%に達するとの予測もある。

 ニュージーランドだけではない。IMF(国際通貨基金)が6月に発表した世界経済の成長率はマイナス4.9%。4月の予測から1.9ポイント落ち、リーマン・ショック翌年の2009年のマイナス0.1%よりも落ち込み幅が大きくなる見通しとなった。新型コロナの感染拡大が止まらなければ、21年も世界はゼロ成長になると予測する。第2波、3波の懸念が残るだけにそのシナリオも現実味を帯びている。