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検査不正にゴーン前会長逮捕と、混乱続きの日産の経営のバトンを昨年12月に引き継いだ。最初の決算は11年ぶりの最終赤字となり、新型コロナウイルスの猛威も重なる逆境に挑む。「社内に革命を起こす」。信頼回復には意識改革が不可欠と説く。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

PROFILE

内田 誠[うちだ・まこと]氏
1966年生まれ。91年に同志社大学神学部を卒業、日商岩井(現双日)に入社。2003年に日産に中途入社し、アライアンス共同購買部門に配属。新興国向けブランド「ダットサン」の収益管理責任者などを経て16年常務執行役員。18年専務執行役員。東風汽車有限公司総裁として中国事業を率い、19年12月から現職。小学校時代はエジプト、中高時代はマレーシアで過ごした。

日産自動車のかじ取り役を任されて半年がたちました。2020年3月期決算では営業損益も赤字でした。このような状況に陥ったのはなぜでしょうか。

 1999年に仏ルノーの出資を受けて以降、拡大路線を大きく進めました。台数を追う視点は間違っていなかったのですが、結果として日本などでの新車投入が後手に回ってしまいました。

 これはまずい、と気付く人はいても、社内でものを言える雰囲気がなかったことも問題でした。昨年12月に社長に就任し、何に「選択と集中」すべきかを考えてきました。それを形にしたのが今年5月に発表した事業構造改革です。

 失敗はきちんと認めなくてはなりません。トランスフォーメーションや構造改革では足りません。言葉は少し乱暴ですが、日産に革命を起こしたいのです。革命というのは壊してゼロからつくるということ。社員がそういった感覚を持って一丸となり、まず社内が変わらなければ信頼は取り戻せません。

具体的には、どのように革命を起こそうとしているのでしょうか。

 社長就任以来、(計画や予算策定の)プロセスを改善してきました。チャレンジャブルな目標を共有し着実に積み上げていくスタイルに転換しています。従来はトップダウンがほとんどでしたが、今はボトムアップもある。常にリファレンス(参考にしたもの)に戻れる形にしておくことが重要です。

 2020年3月期に生産設備の減損を計上し、販売目標を挑戦できるレベルにしました。21年に営業利益率2%以上という設定も、本当にこれでいいのかという議論を重ねました。過度なストレッチを入れず、対外的に言ったことを確実に実行する。(無理しがちだった文化を)根本から見直していきます。

日経ビジネス2020年6月29日号 42~45ページより