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コロナ禍でも果敢に動く米IT大手。これに対し日本はM&A(合併・買収)に消極的だ。「ニューノーマル(新常態)」では社会の仕組みも変わる。攻めの再編姿勢が問われる局面だ。

大恐慌などの経済危機は社会構造の大きな変化をもたらした。新型コロナもそのきっかけになる(写真=Universal History Archive/Getty Images)

 インド財閥大手リライアンス・インダストリーズ傘下の通信会社、ジオ・プラットフォームズ。サービス開始は2016年9月と最後発ながら、大胆な価格戦略で4億人近い顧客を抱えるトップ企業に成長した。

 そんなインドの「勝ち組」に触手を伸ばすのが、米フェイスブックだ。4月21日、ジオへ9.99%出資すると発表した。目指すのはEC(電子商取引)分野での協業だ。フェイスブック傘下の対話アプリとジオが展開するECやモバイル決済などを組み合わせた「スーパーアプリ」の展開を模索する。

 驚くべきは57億ドル(約6100億円)という投資金額だ。フェイスブックにとり、14年に対話アプリを手掛けるワッツアップを218億ドルで買収したのに次ぐ過去2番目の大型投資となる。同社は5月に動画の共有・検索サービスの米ジフィー買収も発表するなど、再編の手を緩める気配はない。

 新型コロナが世界的にまん延する中で果敢に動くフェイスブック。同社に限らず、米IT(情報技術)大手はコロナ禍でも成長を見据えた積極的なM&Aを進める。米マイクロソフトは5月、仮想化ネットワークを手掛ける英企業などIT2社の買収を発表。ライドシェア大手の米ウーバー・テクノロジーズも、料理宅配サービスの米グラブハブ買収への協議を進めている。

 こうしたM&Aは氷山の一角にすぎない。経営共創基盤の冨山和彦CEO(最高経営責任者)は「ニューヨークやロンドンといった金融街では、コロナ禍で値打ちが出てきた案件を求めて投資家がうごめいている」と語る。